鑑別とジェムマーケット

Country
Sri Lanka
Location
Ratnapura
Schedule
2014-06-27-2014-07-12
Target
Sapphire / Tourmaline / Aquamarine / Zircon / Spinel
ジェムマーケットでさんざんな目にあった翌日、
ラトナは、この間私たちが買った宝石を
「本物だと証明しよう!」ということで、ある場所へ。



やってきたのは町の中心地にある
オーソリティという場所。

なんでもここでは、外国人観光客は、
タダで、宝石が本物か検査してもらえるのだとか。
さすが宝石の国。観光客にうれしいサービス。

これは鑑別というもので、
鑑別とは、宝石を、科学的検査を行った上で、
何でできているのか、種類を調べることで、
価値を調べてくれるわけではない。



ここで鑑別書というものを発行してもらうことも。
500スリランカルピー(約400円)だと簡易的なもの。
2500スリランカルピー(約2000円)だと、
写真付きの立派なものに。

ラトナから買った宝石は、検査の結果、
ちゃんと本物だった。
ということで、記念に鑑別書も作ってもらうことに。
安いのだけど。



そしてこの後、私たちは、ジェムマーケットに。
ラトナは、毎日ここに来ているようだったので、
『私たちも一緒に連れてって』とお願いしていたのだった。



車の中からあたりを見回すと、
あちらこちらで宝石の売買が行われている。
基本いるのはスリランカ人と思われる人ばかり。
あんまり海外の人は買い付けに来てる感じじゃないのかな!?



車を止め、
ジェムマーケットの中心地の公園へ。
またあの猛アピールが来る・・・



と思ったらこない。
普通に順番にラトナに宝石を見せている。
私たちの方にもガシガシ来る人はいない。

やっぱりあの時は、日本人のカモだと思われていたのだな。
ラトナはここにいる人達と知り合いだから、
私たちにも下手なこと出来ないという感じ。



私はラトナの隣で、交渉の様子をのぞき見。
次々と原石やルースが出てくる。



ラトナは、パッと見て、
いらないのは手でしっしって感じ。
気になる石は手に取ってみて、
太陽に透かしたり、
さらにトーチライトを当てたり、
頭に被る拡大鏡でチェック。
でもなかなか買わない。

ちなみにシンハラ語で「いいえ」は「ネー」。
ラトナはネー、ネーって言いながら、
なぜ買わないのか、
私たちにわかるように説明してくれた。

ごちゃごちゃになった原石を一つ手に取り、
匂いをかいでる。
「これは・・・オイル。」
原石は水に濡れていると美しく見えたり、
カスカスな感じが消えてなくなったように見えたりする。
そのため、オイルで、ごまかしている人もいるよう。
ほほう、宝石って匂いをかぐものなんだ。

気になる原石があれば、
ラトナ自身のあごに当てて一端滑らせ、
太陽に透かして見ている。
「クラック have」
中にクラック(亀裂)があると言う。
ツヤ消しガラスのようなタイプの原石は、
逆に濡れていないと中までしっかり見えないようで、
あごの汗?脂?で濡らしていたよう。
売り物の原石でも、そんな扱いしてOKなのか・・・。



一旦値段の交渉に入っても、
なかなか折り合いが付かない。
ラトナが買いたい値段、向こうが売りたい値段、
駆け引きが続く。
ラトナの場合は、宝石商人達は同じ石を何度も見せたりしない。
いらないと言えばすぐ立ち去る。
もう買わないとわかっているのか。
私たちの時とは全く違う対応。。

ここに売りに来ている人のほとんどが
ライセンスを持っていない人で、
スリランカの各村から採れたばかりの石や、
カットして仕上げてきた石をもってやってくるそう。

ちなみに、昨日、
家に連れ込まれた時にいた人たちもちらほら。

ラトナに、昨日買った物を見せると・・・
500スリランカルピーで買った
スピネル・ガーネット・ジルコンのミックス袋はグッドだそう。
1000で買ったブルーサファイアの原石は、
人工的に削られて原石っぽくしてるものなのだとか。
300くらいの代物だそう。ショック!
あの売人め~~っ!!!!



基本的にラトナは、ブルーサファイアを探しているらしい。
ブルーサファイアが好きなんだとか。
サファイアを見る目は自信あり!といった感じ。
「この道35年?~40年?だもん」と笑っていた。

ジェムマーケットもただそこに行って、
立って待っているというより、
自分が今日欲しいものが何なのか、声に出してから待っているよう。
ラトナは、ブルーサファイア。
私たちはサファイアのキレイな形をしたクリスタル原石。
ラトナが声かけすると、その場にいた売人たちに伝播し、
さらに他の売人や宝石商に伝わり、
誰か持ってないか探したり、聞きつけて売りに来たりする。

そんなラトナのアドバイスで、
この日、私たちもいろいろお安く石を買うことが出来た。
ラトナの手前、偽物を出したり、ふっかけて来る人もおらず、
一緒に行って買う作戦大成功。

ラトナ曰く、ジェムマーケットは、
10:00か10:30くらいに来るのがいいみたい。
私たちが行ったのはもう12:30過ぎてて、
もうタイムオーバーだそう。トゥモローモーニングだって。
やっぱりいい物は早く売れてしまうのかな。



それからも私たちは、朝ジェムマーケット、
午後から採掘に行くというようなライフスタイルに。

ラトナにチェックしてもらって、OKが出た物を買う。
そんなことをしてると、
なんとなくここでの相場や、
この売人はいい人、悪い人がわかってきた。



そしてサファイアもいろいろ見るうちに、
スリランカ産は、いろんな色があることがわかった。
値段の相場もなんとなく。
ちなみにこれは全部サファイア。
バイカラーと呼ばれる2色のサファイアも。



そもそもサファイアって、ブルーのイメージしかなかったけど、
こんなにカラーバリエーションがあるとは。
レインボーも作れちゃう。
同じサファイアなのに不思議、全然違う宝石みたい。
それに、最初の頃はカットしてルースになっちゃうと、
みんな同じになっちゃうと思っていたけど、
カットの仕方はあるにしろ、
色の出かたやインクルージョン(内包物)、その石が持つ輝きなど、
それぞれに表情があるってわかって、どんどんのめり込んでしまう。



ジェムマーケットにも慣れた頃、
私たちの次なる目標は、
非加熱ブルーサファイアを買うこと。

通常ほとんどのサファイアは、
加熱して色を青くしているらしく、
天然の綺麗なブルーサファイアは珍しいらしい。
そして非常に高価。

とはいえ実際は、加熱しても綺麗なブルーであれば、
非加熱よりも高いものはあるらしいが、
どうも日本人は珍しいものをありがたがるらしく、
日本では非加熱のほうが需要があると言う。

もちろん私も日本人。
どっちかといえば珍しい非加熱がいい!!!
出来れば、1カラット以上のサイズ。

とはいえ、非加熱と加熱のサファイアの違いは、
まったくわからない。
ラトナにいろいろ見せてもらったけど、
言われれば、そうかなぁ、と思うぐらい。
長年サファイアを見続けてきたラトナでも、
微妙な違いだから見分けるのはとても難しいと言う。

まあ、それだけの違いならば、
どっちでもいいんじゃない!?と思われるかもだけど、
せっかくスリランカに来たので、非加熱が欲しい!

非加熱で1カラット以上のブルーサファイア。
これはもうなかなかのお値段。



きっとそんなサファイアを探してると売人が知ったら、
私が見ても価値がわからないので、
加熱の質の悪い物を売りつけられてしまうかも。

と思い、ある作戦を実行することに。



上質なブルーサファイアを探しているラトナ。
1日に買う宝石は、数個。
何も買わない日もあるのだとか。
それは、いい宝石と巡り会うのを待っているからだと言う。
そんなラトナが買う宝石。

その中に、たまに非加熱のブルーサファイアが。
その中に、1カラット以上のがきたーーー!!!

それを狙い撃ち!
売人から買ったと同時に・・・

『ラトナ、それ売って!』

基本的に彼が自分のために買い付けたものであれば、
品質に問題があるはずがない!!!

ラトナに選んでもらうよりも、
ラトナが自分のために買った石の方が信用できる!

これが一番だと思った作戦。

あとは売ってくれるかが問題だけど、
やさしいラトナ、
少しの利益を乗っけたぐらいで売ってくれた!!
ありがとう!!