ロジャリー鉱山ともうひとつの鉱山

Country
England
Location
Stanhope / Rogerley Mine / West Pasture Mine
Schedule
2014-06-01-2014-06-11
Target
Fluorite
念願のロジャリー鉱山でフローライトを採った。
これでイングランドも満足な結果に・・・
と思ったけど、もう少しこの町にいよう。

小さな町だけど、スーパーもあるし、
フィッシュ&チップスのお店もある。



宿の窓からは、雰囲気のあるスタンホープ城が見え、
近所の家の屋根の上をジャンプしていくネコたちもいる。
石造りの塀には、
ピンクの芝桜のような花たちがへばりつくように咲き乱れ、
のどかな気持ちにさせてくれる。

1階のパブはいつもお客さんがいっぱいで、
地元の人達に愛されてるお店だなって感じる。
ここを経営している若い夫婦もとっても感じがよくて、
親身になって世話をしてくれる。

いごごちがいい。

旅のスケジュールはまだ余裕があったので、
もう数日この町で過ごすことに決めた。

じゃあ何をしようか・・・。

私たちには、ひとつ挑戦してみたいことがあった。
それは鉱山跡に行ってみること。

この地域は、昔、鉱山がたくさんあったことで有名。
ということで、鉱山跡もたくさんあるらしい。

前にも書いたが、
すでに閉山した鉱山にコレクターが潜入して
標本を採集する、ということが多いため、
その鉱山跡地では、厳重な立ち入り禁止措置が
取られているらしい。

まあ、行っても無駄かもしれないけど、
どんな風になっているのか興味があった。

ロジャリー鉱山のサイトには、
この地域の鉱山の歴史&情報が書かれており、
ほとんどが閉鎖、アクセス不可とあったが、
そんな中、ある鉱山のところに、
「悪い状態だけどまだアクセス可能」という文字が。
アップルグリーン色のフローライトが出ていたらしい。
さらに、その鉱山を調べてみると、
宿から30分ぐらい歩けば行けそうな場所だと判明。

これは行ってみるしかない!!!!
その鉱山の名前は、West pasture mine。

ネットで調べた地図を元に向かってみる。



うさぎたちがピョンピョン跳ねる道沿いを歩くと、
未舗装の道に出た。

そこで気になる場所を発見。
なにやら横に入って行けそうな感じ。
ここは怪しい。なにかを隠してる!?

そう思い、獣道を草をかき分け入っていくと・・・



なにここ・・・
天空の城ラピュタ!?
美しい若葉が茂る、遺跡のような丘が見えてきた。

どうやらこの辺が鉱山のようだけど、
よくわからない。
今度は、そそり立つ岩の壁のほうに行ってみる。



手前まで行くと、大きな石ばかりが集まっている。
これはもしや捨てられた石?
ひとつひとつ拾い、見てみると・・・



結晶がきれいに残ったフローライト発見。

アップルグリーン色じゃないけど、
ほんのり紫色。
もしかして紫外線で色が変わっちゃった!?
詳しいことはわからないけど、
やった。シャーベットみたいでかわいい。
誰からも力を借りず、自力でフローライトが採れた!



うさぎもいるけど、ヘビもいた。
ここは慎重に、拾った棒で気をつけながら散策。



さらに、クォーツの岩も発見。
ぷりっとしたクォーツも拾った♪



この写真で、こう書くと、すごい場所に潜入して、
採ったと思われるかもだけど、
実際は、地元の人の散歩コースになってるような場所。
もう少し奥の方まで行くと、普通に民家もある。
石を拾ってる私たちの横を
お兄ちゃんがわんちゃんを連れて散歩してたりする。
全然、特別な場所じゃない。
逆にこんな特別じゃない場所で、
フローライトやクォーツが採れることに驚き。



この日は、さらに、
もうひとつ、鉱山を探しに。
地図を元に、川を渡り、高台の方へと登っていく。
鉱山と思われる場所を発見。



進入禁止の看板。
バンバン、ダンプカーが行き来している。
ここは鉱山のようだけど、
どうやら大規模に採掘しているよう。
お呼びでない感じ。

さっさと諦め、
近くの高台に行ってみると・・・



場所を変えると、ロジャリー鉱山も見えた!!
スタンホープの町並みもキレイに望める。

こんな町のすぐそばにも、
鉱山ってあるものなんて・・・不思議。

もうひとつの鉱山には入れなかったけど、
こんなステキな景色を眺められただけで、
この坂を登ってきたかいがあった。



翌日、6月6日はついに快晴。
私たちが向かったのは・・・



またしてもロジャリー鉱山。
目的は、
お世話になったので差し入れを持って行くことと、
みんなで記念撮影をすること。



あまりにも楽しすぎたので、
もう一回フローライトを拾いたかった。
青空の下で!

気になる石をとりあえず持ち帰る作戦。
拾った石をどうするのかと聞かれたら、
どうするつもりなのか、自分でもわからない。
そんなにたくさんほしいのかと聞かれたら、
たくさんほしいわけでもない。
ただ、目の前に落ちている美しい石を見たら、
拾わずにはいられない!!
なんなんだろう、この感覚。
とにかく快感で、すっかりクセになってしまった。

次々と拾っていく。
雨の日は石が濡れているので、
すごくみずみずしくキレイに見えたけど、
逆に晴れの日はそのままの姿で、
若干、干からびているようにも見えた。
雨の日と晴れの日では、見え方が全然違う!

あと、気になる話も聞いた。
『ここに置かれている石、
 勝手に持ってかれたりしない?』
と聞くと、
「持って行く人がいるの知ってるよ。」
だって。

やっぱりそうなんだ!
いろいろ聞くと、
冬の間に人が来て、かち割っていくみたい。
悪い奴もいたもんだ!
う~ん、もしかしたら、そんなのも売られてたりするのかな。

日本で売っている、ちょっと薄めの色のヤツは、
盗品かもしれない。なんて思ったり・・・



最後に、カールにお願い。

『あなたが採ったフローライトを売ってください!』

私たちはお世話になってばかり。
だから、親切にしてくれたカールが、
商売として売っているフローライトを
買いたいと伝えた。

すると、
今年はまだ採掘できてないから、
去年の残り物しかないけど、
それで良ければ。だって。

いいんです、いいんです。
なんでもいいんです。
ただ、何かお返しがしたかったの。

カールが見せてくれたのは、
いくつかの母岩付きフローライト。
あとは、袋に詰められた結晶のカケラ。
ホントに残ってるのが、
それぐらいしかないらしい。
気になる石をいくつかお買い上げ♪
お値段は・・・@@@@@ポンド。
ご想像にお任せします。



フローライトとは別に、化石も採った。
なんでもこの化石、
「フロストリーマーブル」というらしい。
カールが教えてくれた。

調べてみると、珊瑚を含んだ化石らしく、
約3億2500年前のもの!?
これは、ずっと後で知ったのだが、
ここへ来る前に経由地として行ったダラムにある世界遺産、
ダラム大聖堂の柱の一部に、
(なんでもハリー・ポッターのロケ地だそう)
このフロストリーマーブルが使われているそう。
磨くととてもキレイになるらしく、
昔は教会の装飾にたくさん使われたそう。
以上、ネット調べ。

というわけで、
採ったり、買ったりしたフローライトと化石。
たぶん20キロ越えで、めちゃめちゃ重い。
とりあえずバッグに詰め込み、ロンドンで日本に送ろう!!!!



ああ、超~~~~楽しかった。

今回は誕生石ではなかったけど、
誕生石探しを始めてから、
わずかな情報と聞き込みだけを頼りに、
目的の石を見つけるまでのプロセスは、
謎解きみたいで本当に楽しい。

行く前まではもちろん不安があるけど、
動き出したら、もう行くしかない。
いつも、わくわくしてる。
難易度が高い時は、見つからなくてもいい!
挑戦することに意味がある!
と心にちょっとだけ保険を掛けてたけど、
ホントは違うな。

探しに行っているんだ!
見つからなかったら、悔しいし、諦められない。
ホントだったら、ボリビアでも
アメトリンの鉱山に行きたかった!!!!
あれは雨季でどうしようもなかったけど。

今、旅の目的は、誕生石探し。

自分で言うのもなんだけど、
こんな旅をしてる人はいないと思う。

日本人の旅人とか全然会わない。
私だけの旅が、私は好きなのだろう。

そんな旅だから、目的の石が採れたときは、
ここまでの道のりを思い出しては、もう眠れない。

世界のいろんな場所で宝石を探しているけど、
大体が美しい田舎なので、
人もやさしいし、のんびりしてるし、
居心地がよく好きになってしまって、離れたくなくなる。
でも、次へ行くと、またそこが最高に好きな場所になる。
これをくりかえす旅が、楽しくてしかたがない。

スタンホープも全くもって例外ではなく、
いつものように、もう少しこの町にいたい~!
っとなっていた。

かわいらしい町並み、大きな大木の化石、
窓から見える絵画のような景色、
毎朝お母ちゃんが作ってくれた、
イングリッシュ・ブレックファースト
(1週間ぐらいいたので途中から嫌いなもの抜いてもらった)
最高!!

1週間過ごしたこの町、スタンホープは、
まさに希望がいっぱいの町だった!
名残惜しい気持ちを残しつつ、
スタンホープを後にし、ロンドンへ。