まさかの展開でロジャリー鉱山に

Country
England
Location
Stanhope / Rogerley Mine
Schedule
2014-06-01-2014-06-11
Target
Fluorite
フローライトのロジャリー鉱山に行くため、
いろんな人達の力を借り、
許可取りにトライしていた私たち。

翌日、6月4日。
朝起きると、謎のメールが一通。

「You are welcome to visit the mine. Cal」

ん?

ん?

これは、まさか・・・

鉱山に行っていいの?

Calとは、@@@@さんの奥さんに紹介していただいた
ロジャリー鉱山のオーナー、カール。
確認のため返信すると、すぐに返事が。
掘る機械が故障中だけど、中を見せることは可能とのこと。
そして、鉱山への行き方が書かれていた。
あの悪夢のような「Why?」から一転、
まさかの許可取り成功!!

にやにやが止まらない。

が、鉱山に行けるとなるとしっかり準備しなければ!

この日は、雨。
レインポンチョを探しに行く。
ミニホームセンター的なお店で聞くと
別の店にあるかも・・・と教えてくれた。

行ってみると、そこは洋服のリサイクルショップ。
そこで運命的な出会いが!!!



これなんと、
長靴  1ポンド(約180円)*わたし用
ブーツ 2ポンド(約360円)*もうひとり用
割と物価が高いイングランドで、
この価格は!?
安さに感激!!
しかも、探してた長靴が!!!

鉱山に行くのだから、
場違いな格好で行くのは失礼。
ただし長靴は子供用。
指をぎゅっと曲げないと入らない。
足が痛い。が、しかたない。

これにポンチョもゲットし、準備は整った。

装備万端で、ロジャリー鉱山へ。

どきどきどきどき・・・

ゲートは・・・



わぁああああ!?

開いているっ。

というか、
私たちのために開けておいてくれたっぽい!
ウェルカムって本当だった。
この前は鍵がかかっていたのに、
堂々と入れるなんて、超ワクワクする~!

緩やかな坂道に沿って進んでいくと、
うさぎちゃんがピョンピョンいっぱい!!!
足下はぬかるんでいるので、さっそく長靴大活躍!

そして、言われていたプレハブを発見。

迎えてくれたのは、
ロジャリー鉱山のオーナーのカール。
そして、ロジャリー鉱山のブログでお馴染みの
ジェシーとイアン。
みんな渋いおじさまたち。
鉱山の男たち。

挨拶をして、
鉱山が見たいと伝えると、
今は採掘機械が故障して修理中だから、
今年の採掘はまだ始まってないけど、
鉱山の中を見せてあげるって。

やったー!

奇跡のような展開。
これは記録に残したい。
『写真を撮ってもいい?』
と聞いてみた。
すると・・・

問題なし!

というわけで、ここから撮影!



鉱山の中は、危険&汚れるからと、
ライト付きのヘルメットと
ジャケットを貸してくれた。
もうひとり用には、長靴まで!ありがたい。

初対面なのに・・・
昨日の夜連絡したばっかりなのに・・・
英語もうまく話せないのに・・・
なぜだろう鉱山に関わる人はみなやさしい。



そして、カールについていき、
急な階段を上ると・・・

おおっ!
鉱山の入口らしきものが!!
知ってる!
ロジャリー鉱山のサイトでよく見てた場所。
この先に行けるなんて、
ゲートが閉まっていたのを見た昨日からは、
まったく予想もできない展開。



カールが中に入っていく。
私もライトを付け、中へ。
足下には水たまりがたくさんあって、泥沼みたいになってる。
中は、木の骨組みで支えられ、トロッコの線路も・・・



そこからは怒濤のフローライトラッシュ。

カールが次々にポケットと呼ばれる
過去に見つけたフローライトの採掘現場を
丁寧に案内してくれた。



どのポケットも名前がついていて、
興味深い。



はじめて入る現役の洞窟的鉱山。
まさに採掘のイメージ通りの場所。
イメージ通りなんだけど、
自然がこんなものを作り出すなんて不思議でならない。
これを発見した人はどんな風に思ったのだろう。



ここにあるフローライト、
クォーツと一緒に出るのや硬い岩盤と出るのは、
取り出すのがとても大変なんだとか。
逆に、泥に包まれていて、
スポッと取り出せる場所もいくつかあるそうで、
キズのない美しいものがとれるんだとか。



採掘というと、
全部採っちゃうのかなと思っていたけど、
天井も横も一面、大小様々なフローライト。
濃いグリーンの美しい結晶がいっぱい!!!
なんか天空の城ラピュタの飛行石の洞窟みたい~!



濃く深いグリーンのフローライトは、
息をひそめて寄り添っているように見えた。
神秘的という一言で言い表せない感じ。
なぜか気持ちが落ち着く。
本当にこれが自然な形なの?と思ってしまうような、
精巧な形をしている結晶は本当に美しい。
泥に埋もれているから、
洗ってみないと本当の姿はわからない。

洞窟内は結構広くて、いくつもトンネルが続いている。
冷たくじめっとした空気が漂う。
一部崩落している場所もあり、これ以上は危険なため、
掘り進めないという場所もあった。
安全のため、天井や壁を支える木材を使うので、
それにお金がかかるとも話していた。
やっぱり命がけのお仕事なんだな。

とここで、カールが、
足下に埋まってたフローライトを採り、
私たちに差し出した。

もらっていいの!?

ロジャリー鉱山は、このフローライトを
鉱物として販売するために採掘をしている。
だから、すべて立派な商品。
そんなものをいただけるなんて・・・感激!!

さらに、せっかくなので、
ひとつでいいからこの鉱山内の
フローライトを自分で採って持って帰りたいと思い、
足下に埋まっていたフローライト採り、
カールにもらっていいか聞いてみる。
すると・・・

「OK!」

やった。
泥まみれだけど、
ビビビっと来たのを選んだ。
あとで洗うのが楽しみ。

こうしてあっという間に、
鉱山見学は終了。

念願のロジャリー鉱山で、
フローライト採ったーっ!!

もっと見たかったけど、
いきなり来たし、
作業で忙しいところだと思うので、
これで充分。

と思っていたら、カールが私たちを呼ぶ。



ここは採掘したときに出た、
不要な石?邪魔な石?が捨てられている場所で、
ここにもよく見るとフローライトがあるんだよ。
だって。

もしかして・・・

ここの石は採ってもいいの!?

「好きなの見つけて持って行っていいよ!」

採り放題きたーーーっ!!
雨が降っててもへっちゃら!



ただの岩ばかりかと思いきや、
よく見ると、そこら中にフローライトが♪
キャンディーみたい。おいしそ~!

ちょっと専門的な話だけど、
ロジャリー鉱山のフローライトは特殊で、
太陽の光(紫外線)で、青く発光する。
鉱山内のフローライトは、
太陽の光が当たらないので、深いグリーン。
でも、外にあるフローライトは、ブルーに。

他のフローライトも
紫外線で変化するものも多いらしいが、
それはブラックライトなどを当てたときだけで、
ロジャリー鉱山のは、太陽光ぐらいの紫外線でも反応する
強発光のフローライトと言われている。
以上、ネット調べ。



と聞いていただけに、
この日は雨、曇ってるのにこの青さ。
この光景は驚いた!!
青いーーーーっ!!

ただの岩かと思いきや、
フローライトのオンパレード。

でも、重くて持って帰れない!!



中には紫のものも!



化石もあった!貝がそのままくっついてる!



いいなと思う石は全部大きすぎる!!
持ち上げることすら出来ない。
うううう、くやしい。
なので、手で持てるぐらいの母岩付きや
キレイなグリーン&ブルーのを探す。

ハンマー使っていいか聞いたら、Have fun!と言ってくれた。
でも、ハンマーで割れるようなものはなかった。
母岩は思ったよりも超硬い!全然歯が立たない。
それなのに、フローライトの結晶自体は超もろい!
ほんの少しの力ですぐに亀裂が入ったり、
ガラスみたいに粉々に割れてしまう。
これは、鉱山内での採掘はかなり大変なものだと実感。

ここからは必死。
雨に打たれながら、岩と岩の隙間も見て行く。



とここでひとつ気づいたことが・・・

グリーンはグリーンでも
濃いものと薄いものがある。



カールに聞くと・・・

「これは太陽の紫外線で、薄くなったんだよ。
 3ヶ月も外に置いておくとこうなるんだよ。」

知らなかった。
こんな色のフローライトもあるのかと思ったけど、
色が抜けて、こんな色になるのだった。
意外とこの色、キライじゃない。
むしろ、好き。
紫色とグリーンのが混在する感じも好き。

そして、小さなもの、中くらいのもの、
気になるものはすべて持ってきた袋へ。

雨が強くなってきたため、
たくさん採ったところで終了。
カール達も今日は雨が強いから作業は中止とのこと。

最後にカールと記念撮影♪



さて、帰ろうかと思ったら、
雨の中、採った石を持って、
30分以上歩いて帰ることを知ったカールが、
車で宿まで送ってくれた。

車の中でいろいろ話をした。
カールは、イギリス人ではなくアメリカ人。
普段はカリフォルニアに住んでて、
春から夏までの3ヶ月間だけここに来て掘っているそう。
それ以外の時は、
世界中のジェムストーンを採ったり売ったりしてるみたい。
Diamonds State Parkのことも知っていた。
カールもあそこのダイヤモンドを扱ったことがあるみたい。
私たちが3ヶ月かけてダイヤモンドを見つけた
と言ったら驚いていた!

カタコト英語の謎の日本人がいきなりやってきても、
笑顔で案内してくれて、
好きなだけただでフローライトを採らせてくれて、
宿まで送ってくれるカール・・・

これまでいろんな鉱山に行ってきて思ったけど、
鉱山のオーナーはみんな寛大な人ばかり。
偉ぶってる人も感じの悪い人もいなかった。
いつもすごいやさしいなって、
あったかい気持ちにさせてくれる。

そんなやさしさに包まれながら、
幸せ気分で家に帰ったのが3時半頃。
部屋とバスルームでフローライトを洗いまくる!

こんなキレイな姿が現れた!



左が私が採ったフローライト。
右はカールが採ってくれたフローライト。

曇りのない超キレイな結晶!!
光に透かすと、キレイなグリーンとブルー。
こんなに美しい石だったなんて!

フローライト界で超有名なロジャリー鉱山で、
これを自分で採ったなんて、もう感激! 最高の思い出!



これもカールが採ってくれたフローライト。
ロジャリー鉱山のフローライトは、
紫外線で、グリーンからブルーに。
私的には、スプライトカラーと呼んでいる。

ちなみに、この日の出来事が、
ロジャリー鉱山の日記に掲載されていた。
《The Rogerley Mine》

ロジャリーのサイトに私たちが登場するなんて!
カールが書いてくれたことがすっごくうれしかった。
旅の最高の記念だ。

諦めなくてよかった。
難しいと思ってたけど、
やっぱり熱意があれば行けちゃうものなんだ。
親切な人はいるものなのだ。
誕生石ではないけれど、
ずっと気になっていたロジャリー鉱山のフローライト、
この手で採ったーーーっ!!

こうして、フローライト探しも大成功に終わったのであった。