採掘現場と言う名の観光地

Country
Sri Lanka
Location
Hikkaduwa / Meetiyagoda
Schedule
2014-07-12-2014-07-14
Target
Moonstone


翌日。
予定通り、宿が用意してくれたトゥクトゥクに乗って、
ミーティヤゴダに向かう。
今回のドライバーの名前はサミーラ。
私たちはローカルな採掘現場に行きたいと念押し。

気持ちのいい海岸線沿いを走っていくと、
テンプルに寄って行く?とか、
写真を撮る?とか・・・
やたらとこのあたりの名所をおすすめされる・・・
もちろん答えはノー。
彼なりの気遣いなのか、
チップをはずんでもらう作戦なのかはわからないけど、
私たちは観光しに来たわけじゃないし、
正直興味ないところには行きたくない。
とにかく、ムーンストーンの採掘現場に行きたい。



ということで、寄り道せず走ってもらったのだが、
途中の景色の中で、何か違和感を感じた。
倒壊したレンガの骨組みや、
家の基礎部分が無残に残っている場所がいくつもある。
聞くと、このあたりは2004年に起こった
スマトラ島沖地震の時、津波があり、
大きな被害があった場所だという。
1km先まで津波が襲ったそう。
この辺りの家は津波に破壊され、スリランカ全体では、
3万人あまりの人が犠牲となったという。
その時の爪痕がまだ生々しく残っていたのだった。



私も東日本大震災の津波の被害や爪痕を、
実際に目の当たりにした時の光景と
そこに住む人達のことを思い出す。
いくつも重なる風景がそこにはあって、
また胸が締め付けられた。
生き延びた人たちは今、どんな暮らしをしているんだろう。

その近くには慰霊碑や同じ仏教と言うことで、
日本の協力により、大きな仏像も建てられていた。
ここだけはお願いして止まってもらった。



切なくなる景色が続き、しばらしくすると、
ミーティヤゴダに到着。
至る所に、ムーンストーンの文字が。

ラトナプラにはない光景。

ん?

んん?

この時からいやな予感ははじまっていた。

そしてとある施設の前でトゥクトゥクが止まった。
ここだと言う。
なんだかこぎれいな駐車場。
本当にここ?

すると、きっちりたスーツを着た
日本語を少しだけ話せる男性スタッフが現れ、
私たちを案内してくれるという。

・・・あれ?
こんなちゃんとした格好の人、
採掘現場にいたかな?

案内された場所は、

採掘現場・・・

なのだが、なにかが違う。
やけにいろんなものが整っている。

職人と思われる人もいるけど、
なにかが違う。

うそくさい。

すべてが見せ物のよう。
っていうか、やらせ!!!

みんな本当の採掘現場なんか知らないから、
気づかないかもしれないが、
これじゃない!!!

もしかしたら、
昔本当に採掘されていた場所なのかもしれないけど、
どう見ても、現役な感じがしない。

なので、写真を撮る気にもならない。

決定的だったのは、
採掘の案内をされたとき、
カメラを構えさせられた。

そして、職人らしき人が穴の中に降りていき、
いい感じの場所でストップし、にっこり。

決めポーズ・・・



終わった。
こりゃないわ!!!

ウユニ塩湖で、ツアーに参加したら、
ガイドさんが、どんどんポーズをさせて
写真を撮っていったアレだ。
この写真が撮れればあんた満足でしょ。的な・・・

となりで、もう一人がブチギレ。

『違う、違う、ここじゃない!!!』
『こういうのが見たいんじゃない!』
『本物の採掘現場に行きたいんだ!』
『ここがニセモノなのは分かってる!』
『バカにするな!!』

この男、気が短い上に、曲がったことが大嫌い。
思ったことは、すぐに口に出す、ちょっと取扱が難しい。
本物の採掘現場に行きたいという情熱は、
私と同じくらい熱く、強いのはいいのだけど、
いやいや、まあまあ、落ち着いて。
気持ちは分かるけど、
別にこの人たちが悪い訳じゃないし、
職人さんみたいな人だって、
仕事でやってるんでしょう、観光客を喜ばせようと。
まあ、こんな感じのを求めてやってきてる
ただの観光客だと思ってるんだろうから。
そして、たいていの観光客はそれで喜び、
満足するんでしょう。

でも、相手も反論。
私たちのことを普通の観光客だと思ってるので、
「そんなところはないし、
 本物の鉱山はデンジャーだ、お金を取られる!
 あっても観光客は入れない!」
と若干キレ気味に言い、そのままの流れるように、
ジュエリーショップへ連れて行かれた。

やっぱり、これは
採掘現場風を見せて、
宝石を買わせようとするアレだ。

『ふざけるな!!』
『なめんなよ!!』

と、すぐに店を出る。

スタッフも早く帰れみたいな顔だった。

もうひとりが作った変な空気と、
感じが悪くなったスタッフに挟まれて、
私のテンションもダウン。
別に怒る気もないけど、
正直、私もがっかり。
ようやくたどり着いた本場ミーティヤゴダなのに、
宝石を買わせるための
観光施設に連れて行かれただけだった。

ここで宝石を買うと、
もしかしたら連れてきたドライバーに、
いくらかキックバックされるのかもしれない。
このパターンが結構多い。

こりゃダメ観光地だ。

とりあえずサミーラにここじゃない!!!
行きたいのは、観光客が来ない、
ローカルなムーンストーンの
現役の採掘現場だと伝える。

とはいえ、
サミーラには、もう少し諦め気味。
あれほど観光客が行く見せ物みたいな場所じゃないと、
念を押したのに・・・
どうせまた同じような場所に連れていくんだろうな。

ダメだったら、ここらへんで降りて、
別のトゥクトゥクにお願いして探してみよう。

・・・

と思ったけど、頑張って探してくれている。
現地の人に何か聞きこみし、
あちこち走っている。
もしかしたら、サミーラも、
こういう観光用の採掘現場しか
知らなかったのかもしれない。

そして、
たどり着いたのが・・・

看板もない、
観光客らしき人も見あたらない、農道の行き止まり。
お!?今度こそ期待できるかも!?