ラトナプラで、ティラカと出会い、
採掘にお邪魔させてもらえることになったけど、
宝石探しの最終工程は、週に一度くらい。
さあ、今日からはどうしようか!?
と思った時、
そうだ、私たちには、あの男がいたっ!!!
トゥクトゥクドライバーのアルナ!
この男、なにやら採掘現場に詳しいらしい。
事前情報によると、このあたりでは、
川で普通に少年とかが採掘していると聞いていた。
私たちも川の採掘現場に行って、宝石を洗いたいと言うと、
連れて行ってくれると言う。
ホントかどうかわからないけど、
連れて行ってもらえるなら、ありがたい、
行ってもらおう。
しかし、行った先の川はかなり大きな川で、
水位も高く、宝石探しなんてしてる人は一人もいなかった。
俺の写真を撮ってと、決めポーズ。
え!?そのために来たの!?
どうやらこの川じゃないらしい。
少し走ってたどり着いたのは・・・
あれ?・・・今度は川じゃない。
でも、採掘現場のよう。
5人くらいで小規模な採掘が行われている。
作業をしていた職人さんたちは笑顔で迎えてくれ、
ザル洗いを実演して見せてくれた。
すると、今土を洗って出たばかりの宝石を差し出し、
買わないかと言う。
いや・・・
私は買い取りに来たんじゃないし、
その宝石は私が欲しいと思っていたサファイアじゃなかった。
なので、
『私にも洗わせてほしい!
それで出た宝石を買い取りたい!』
と交渉すると、すぐにOKが出た。
ツタのようなもので編まれた小さなカゴに、
土を2杯持って来て、ザルの中に入れてくれた。
まず粘土質な土をよく手で揉みほぐし、
植物の枝や根っこを取り除く。
ティラカのところで練習したから、
やり方は大体分かってる。
そんな私の動きを見て、
みんな「シャー!(素晴らしい)」って反応。
この溜め池はすごく浅いから、
ふくらはぎにかかる負担がはんぱない!ぷるぷるしちゃう。
職人さんのOKが出て、さっそく洗った土をチェック。
まずは宝石の神様にお祈りをする。
ティラカの採掘現場でもそうだったけど、
砂利をチェックする時、
手の形が決まっているようで、
この現場での砂利チェックは、この指の形。
親指のみ使わないパターン。
伸ばした人差し指、中指、薬指、小指の4本で
そっとかき分けていく。
・・・するとなんと!
でたっ!!
砂利の中から、私でも分かるくらいはっきりた色の原石。
水色のはアクアマリン、黒いのはトルマリン、
紫っぽいのはスピネルだと言う。
うわぁ!アクアマリン!!
こんな早くスリランカでゲットできると思わなかった。
おっきい!
こりゃ楽しい!!
もっとやりたい!!
『もう1回やらせて!』とお願い。
今度はみんなが掘り出した土の山から、
自分で盛って運ぶところから。
さぁ、お宝入ってるかな!?
よし、この辺の土に入ってそうだ、ここにしよう。
よっこらせっと。
足場もドロドロぬかるんでて滑る~!足が取られるっ!
私のサポートをしてくれるのは、
この採掘現場で一番笑顔でいてくれたガーナカ。
宝石の原石が入ってるかもしれない大事な土を、
少しも取り残さず、きれいにザルに移す。
アメリカのダイヤモンド採掘と一緒だな。
ダイヤモンドハンター友達のアダムも、砂一粒残らず、
きれいにバケツから移してたっけ。
丁寧な仕事は、宝石探しにとって、とっても大事。
ザルの中の砂利がきれいになるように、
グルグル回していく。
さて、今度はどんなのが出るかな!?
みんなも見守ってる。
どきどきどきどき・・・
じゃん!!って1個だけ。
で・・・?
ナニコレ・・・
『この石は何!?』
するとみんな、よってたかって、
「トパーズ!トパーズ!」
と言い出した。
え・・・!?トパーズじゃないと思うんだけど・・・
「いいや、トパーズだ、トパーズ!」
本当?なんだかウソくさい。
でもアルナも「トパーズ」って言ってる。
う~ん・・・
そして、買い取るのに、
べらぼうに高い値段を言われた。
これは、カモられてる・・・
交渉するときは大体、ものすごい高い値段を言われるので、
こっちはものすごい低い値段からスタートする。
最終的にお互いの中間くらいの金額に落ち着くのだが、
それにしても結構お高めだった。
でも、自分で採った原石・・・
ちょっと高くてもやっぱりほしいと思って、
しぶしぶ手をうった。
ひとまずやらせてもらったお礼はきちんと言って、
トゥクトゥクに乗り込み、採掘現場を後にした。
すると、すばらく走ってアルナがエンジンを切り、
買い取った石を見せてと言う。
そして、ひそひそ声で、こう言った。
「これはトパーズじゃない。アメシストだ。」
なにぃ!?
こらっ!!アルナ!!なんであの時言わなかったんだ!
みんなには黙っててってジェスチャーをしながら、
一つ一つ、この石は100スリランカルピーくらい、
これは安い石、と値段を教えてくれた。
だまされた!!!
「ただ、アクアマリンは結構いいものなのに、
あいつらは気づいてなかった、いい買い物だ。」
とも言う。
おい!どっちの味方なんだよ!
アルナはソーリーって、ヘラヘラ笑ってる。
彼らの手前、
なかなか本音も言えなかったのかもしれないけど、
この男、なかなか信用ならん。
そのままトゥクトゥクを走らせ、宿の方へ向かっている。
『え?どこ行くの?』
「宿だよ~」
って、ちょっと!!なんでもう終わる気でいるんだよ!?
『私たちは採掘できる川に連れて行ってって言ったよ。
アルナ、知ってる、連れてくって言ったよね?
今すぐ、行って!』
「え~だって、そこは遠いからもっとお金かかる」
いやいや、今日は1日付き合うって話で
あらかじめ料金を決めたはず。
なんとか説得し、次なる場所へ。
ラトナプラの町を離れ、
林道を30分くらい走ったところで、
道路沿いに小さな細い小川が見えてきた。
おお、採掘してる~っ!!!
さっそく働いている人達の元へ。
ここは大人数の男性が働いている。
雨が降ってきたから、みんな小屋で休んでいた。
このあたりでは先日、
120カラットのブルーサファイアが出たそう。
120カラットでどんな大きさ!?
アルナにザルで洗いたいと説明すると、
ちゃんと通訳してくれた。
返事はここでもOK。
さっそく、ジェムウォッシングスタート!
ここは川だから、粘土質ではなく、さらさらの砂タイプ。
ザルを回し続けていると、次々に砂利を追加される。
もうやめてー!手も足も腰も痛いよーーー!
ようやく洗い終えると、
川底に私の足が埋まってあがれなくなってた。
ひ~!でも楽しい♪
恒例のお祈りを捧げ、
いざ、お宝チェック!!
この現場では、親指と人差し指をくっつけて、
中指、薬指、小指の3本で砂利を見ていくみたい。
採掘現場やチームによってちょっとずつ違う。
私は素人なので、
全神経を集中させて、
見逃さないようにゆっくり見ていく。
すると・・・
あった!!!
鮮やかなブルー!!!
ま、まばゆい!
こ、これはブルーサファイア!?
ついに念願のブルーサファイア原石を採った。
他にも宝石は見つかり、全部でこんな感じ。
「何回やっても宝石が出ないこともあるのに、
1回でこんなに出るなんて、
You are lucky girl!」だって。
この後は、恒例の買い取り交渉。
例のごとく、交渉は難航。
マネージャーみたいな人は、
いい感じだったんだけど、
一人英語が堪能な人がいて・・・
「この仕事はめちゃくちゃ重労働なんだ。」
「みんな家族がいて、みんな大変なんだ。」
「この値段でもかなり安いぞ。」
と、やたら迫ってくる。
うん、知ってる、この仕事が大変なのは。
だけど、その価格がちょっと高すぎることも知ってる。
お互い一歩も譲らない交渉。
でも正直、私は交渉が苦手。
駆け引きとか、得意じゃないし、相手を疑ったり、
そういうのも疲れる。
なんやかんやあっても、
やっぱり自分で採った石が欲しい。
ということで、お買い上げ♪
買い取りが成立して、みんなうれしそうだった。
この日は、思いがけず長い一日だった。
アルナに宿まで送ってもらい、終了。
宿に戻り、テラスから町を見下ろすと・・・
あれっ!?
あそこ・・・
もしかして今日、最初に行った採掘現場じゃない!?
なにこれ、ここから見えるじゃん!
っていうか、
こんな近くに採掘現場があったなんて!