GIA Graduate Gemologist (GG) 取得したい方へ

はじめに…


GIA(Gemological Institute of America)は、ダイヤモンドの国際的な基準4C(カラー、クラリティ、カット、カラット重量)を生み出した宝石学の世界的な権威であり、現在もフィールドジェモロジストによって世界中の産地から常に新しい情報を集めている研究機関です。

宝石業界の資格取得を考えた時、
GIAのGraduate Gemologist(グラジュエイトジェモロジスト)ディプロマを取得したいと思う方も多いのではないでしょうか。

しかし…

* GIA GGに興味があるけど、何から始めていいか分からない。
* 英語でしか受講できないって本当?
* どのぐらいの期間で取得できるの?


こんな悩みや疑問を抱えていませんか?

2023年現在、GIA GGディプロマを取得するには、
・海外のGIAキャンパスに通学、全日制での学習
・オンラインeラーニングクラス + 実践ラボクラス

のどちらかで学習する必要があります。

『日本語でのコースのサービスを今後は行いません』と発表されており、
英語で学ぶ必要があります。
(一部のキャンパスでは中国語での教育サービスも行っています)

英語が得意な方は、どちらでも可能ですが、
英語が苦手な方は、eラーニング + ラボクラスでの取得が現実的でしょう。

ここからは私のGIA GGディプロマ取得の経験をもとに、
eラーニング + ラボクラスでの取得方法を書いていきたいと思います。


1. GIA GG取得までの道
2. GIA GG取得に必要な英語力
3. 資格取得までの期間・費用について
4. つまづきやすいポイント
5. まとめ

1. GIA Graduate Gemologist (GG) 取得までの道


GIAのサイトを日本語で見ると、
通信教育(eラーニング + ラボクラス)と書かれており、
一見すると、日本にいながらにして資格が取得できるかのように思えますが、
そうではありません。

GIA Graduate Gemologist (GG) ディプロマを取得するには、
5つのオンラインeラーニングのコースと
海外のキャンパスへ行き、3つの実践ラボクラスを受講する必要があります。
(下の表の左側がGGに関するものです)


(GIAのサイトより)

eラーニング
①ダイヤモンド エッセンシャル(Diamond Essentials)
②ダイヤモンド および ダイヤモンド グレーディング(Diamonds & Diamond Grading)
③カラー ストーン エッセンシャル(Colored Stone Essentials)
④カラーストーン(Colored Stone)
⑤宝石鑑別(Gem Identification)

パソコンやタブレットを使い、オンラインでテキストと動画を見ながら課題を進めます。最後にテストがあり、合格すると修了書がもらえます。
※⑤宝石鑑別のみ、オンライン学習に加え、実際に石を鑑別する課題もあります。

ラボクラス
⑥ダイヤモンド グレーディング(Diamond Grading)
⑦カラー ストーン グレーディング(Colored Stone Grading)
⑧宝石鑑別(Gem Identification)

海外のキャンパスで受講する必要があります。実践的な研修を受け、最後に実技テストが行われ、合格すると修了書がもらえます。

2. GIA GG取得に必要な英語力


ここでは学習に必要な英語力について説明していきます。

英語がペラペラ、いわゆるネイティブレベルでなくても全然大丈夫です。

一番重要なのは、リーディング能力。(テキストを読むため)
その次が、リスニング能力。(教材の動画、ラボクラスの講師の話を理解するため)
最後が、スピーキング能力。(ラボクラスでの受け答えのため)

具体的にどのぐらいの英語力かというと…
GIAバンコクのキャンパス通学コースの英語資格要件のひとつに、
TOEIC650以上とあります。
ただ私の実感としては、そのレベルではテキストを読むのは難しいと思います。
最低TOEIC730、できればTOEIC800以上、
英検で言うと準1級レベルの英語力があるとよいと思います。

ここで英語力がなくても、
テキストはネットの翻訳機能で読めばいいんじゃないの?
と思った方…

はい、読めます!!
わりとちゃんと読めます!!

ただ、このわりとが問題で、
基本的にネットの翻訳は宝石学向けにはなっていないので、
長文や日本語では表現しずらい単語が出てくると、誤訳だったり、
重要ポイントが理解できない訳になることが多々あります。

例えば、重要なワード "translucent" "semi-transparent"。
ネット翻訳ではどちらも半透明と訳されますが、2つの意味は異なります。
ですが、この違いに気づかないまま学習を進めることになってしまいます。

そのほかにも、
*最終テストはオンラインで受けますが、ネット翻訳の使用は禁じられています。
*ラボクラスを受講する際、スマホや電子機器は使用できません。(テキストを読んだり、講師の話を聞いたり、質疑応答もあります。)
こういった点からもある程度の英語力が必要だと言えます。

3. 資格取得までの期間・費用について


では実際どのぐらいの期間でGIA GGディプロマを取得できるか?
eラーニング、ラボクラス、それぞれの学習期間を見ていきましょう。

eラーニングは自分のペースで学習を進められます。
毎日数時間勉強したと仮定すると…

①ダイヤモンド エッセンシャル
▷1週間〜1ヶ月程度
②ダイヤモンド および ダイヤモンド グレーディング
▷1〜4ヶ月程度
③カラー ストーン エッセンシャル
▷1週間〜1ヶ月程度
④カラーストーン
▷1〜4ヶ月程度
⑤宝石鑑別
▷3〜10ヶ月程度
(これは自宅で学習した場合の時間です。宝石鑑別の実習は、海外キャンパスのワークルームで行うことも可能です。その場合は1〜2ヶ月程度)

5つのコースを最短で進めると計算上は、約6ヶ月程度で修了することが可能です。


ラボクラスは受講日数が決まっています。

⑥ダイヤモンド グレーディング
▷5日間
⑦カラー ストーン グレーディング
▷3日間
⑧宝石鑑別
▷5日間
各キャンパスごとに日程が異なりますが、連続した日程で行われます。
ぞれぞれのコースが続いて行われることが多いため、
3週間で一気に修了することも可能です。


最短でGIA GG取得するためには、
効率よく英語力を上げることはもちろん、
eラーニングとラボクラスを受講する順番、スケジューリングが重要です。


eラーニング + ラボクラスでのGIA GGディプロマ取得費用は…
約12,000USドル(1ドル135円換算で約160万円)。

※授業料のみ。鑑別機器の費用、ラボクラスの旅費&滞在費、テキスト代、その他の諸費用は含まれていません。
※2023年現在の価格です。授業料は年々値上げされいます。


4. つまずきやすいポイント


ここでは英語以外のつまずきポイントについて紹介します。

⭕️試験監督探し
eラーニング③④⑤の最終試験は、試験監督を用意する必要があります。日程が自由に決められるのはよい点ですが、試験監督は誰でも良いわけではなく、条件があり、GIAに確認し、認定される必要があります。

⭕️鑑別器具の用意
eラーニング宝石鑑別で使用する器具は、自分で用意する必要があります。必要な機器リストがあるのですが、個別の説明がないため、宝石初心者の場合、少し難易度が高いと思います。

⭕️サイトが見にくい
日本のサイトと比べるととても扱いずらく、コースの登録など目的の場所に辿り着けないこともしばしば。たまに不具合もあるので注意が必要です。


5. まとめ


GIA GGディプロマ取得までの道のり、
ご理解いただけましたでしょうか?

もしうまく学習を進められた場合、
中学生レベルの英語力から、GIA GGディプロマ取得までは、
約1年ぐらいでいけるのではないでしょうか。

もちろん仕事をしながらや、
あまり時間が取れない方もいらっしゃると思います。
eラーニングの各コースごとに期限がありますが、
最大2年間の時間があるので、
自分のペースで進めていくのがよいと思います。

以上、GIA GGディプロマ取得を目指しているあなたの参考になれば嬉しいです。



最後に…
英語でのGGディプロマ取得全般についての質問、
eラーニングとラボクラスのスケジューリング、
英語の勉強方法、鑑別器具の揃え方などの相談お受けします。
宝石の知識、英語力に合わせたアドバイスもいたします。
資格取得のお手伝いができたら幸いです。 

文:Daiju GIA GG, AJP, Graduate Pearls