GIA Graduate Gemologist ディプロマを取得しました

世界一周からもうすぐ10年、
GIA Graduate Gemologist (GG) ディプロマを取得しました!



私ではなく旦那が!
Graduate Pearls, Applied Jewelry Professional (AJP)ディプロマも取得し、
ちなみに私はGIA AJPディプロマを取得しました。

GIA(Gemological Institute of America)といえば、ダイヤモンドの価値評価である画期的な4C(カラット、カラー、クラリティ、カット)の考案者であり、最も高い評価を受けている世界最大規模の非営利宝石学研究及び教育組織とされ、Graduate Gemologist(グラジュエイトジェモロジスト)は宝飾業界で最も権威のある資格のひとつであると言われています。

日本での呼び名としては、宝石鑑定士と言うようです。

というわけで、ここからは旦那にバトンタッチ!
GGディプロマ取得までの道を記してもらいます。

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私がGGに興味を持ったのは、2015年にスリランカで、
フィールドジェモロジストのヴィンセントに出会ったのがキッカケです。



ヴィンセント(写真右)は当時GIAで働いていて、
彼による世界中の宝石鉱山を調査する動画があり、
スリランカで彼に似た人を見かけたときに、もしやと思い声をかけ、
私たちの旅写真集を渡しました。
すぐにパラパラ見てくれて、
アメリカで3ヶ月かけてダイヤモンドを見つけた話だったり、
ベトナムで大理石のルビー鉱山に登ったことだったり、
ヴィンセントが行ったことない鉱山があったりで、
一気に仲良くなり、取材に少し同行させてもらったり…


(Vincent PardieuのFacebookより)

翌年、バンコクでヴィンセントとお茶したときに、
いろいろ話を聞いて、漠然とGG取ってみたいなと。


が、しかし!!
私が興味を持った2016年ごろ、
日本にGIAの教育サービスはありませんでした。

以前に日本で教育サービスを行なっていたGIA JAPANは、
GIAのフランチャイズの学校だったそうで、
2015年末、GIAとフランチャイズの契約が切れ閉校となっていたのです。

しかししかし、
捨てる神あれば救いの神あり!!

2017年、本家のGIAがGIA TOKYOとして、教育サービスを開始したのです。

おおー、これはフランチャイズではなく、
本家の教育サービスを受けられる逆に大チャンス!!

ここからGIA GGディプロマ取得の道がスタートしました。

が、GIA TOKYOスタート当初受講できたのは、ごく一部だけ。
(ダイヤモンドエッセンシャルとダイヤモンドグレーディングラボクラスのみ)

その後、GGディプロマ取得に必要なコースが開講する予定でしたが、
一向に開かれず…

そして2019年11月末、GIA TOKYOの教育部門が突如閉鎖。


ガーーーーーン!!!!


サイトに書かれていたのは、
『GIAは日本語でのコースのサービスを今後は行いません。』


ガガガ、ガーーーーーーン!!!


2年ぐらい待っていたのに…
(同じ気持ちだった方も多いのでは…)

というわけで、
GIA GGディプロマを取得するには英語で学ぶしかない状況に。



簡単にGIA GGディプロマ取得までの道のりを説明すると…

Aプラン:海外のキャンパスに約6ヶ月通い勉強する。
Bプラン:5つのオンラインeラーニングのコースと海外のキャンパスで3つの実践ラボのクラスを受講する。

のどちらかで、英語必須&海外のキャンパスに行く必要があります。



しかし、この状況をポジティブに考えると…
・英語も話せるようになり、海外に行くのが楽しくなる!
・日本人でGGディプロマを取得できる人が少ないので貴重な存在に!
・あと単純に英語で資格取るのがかっこいい!


これはチャレンジするしかない!
キャンパスで毎日英語で授業を受けるのは無理なので、Bプランを選択。



まずは英語力。
このサイトをしっかり見てくださってる方はご存知かと思いますが、
私たちふたりとも英語力はないに等しいレベル。

10年前はまったく読めなかったこの英文。



これが読めない、単語の意味もわからないレベルの英語力から、
テキストを読んだり、話を理解できるようにするのが大変でした!

というか、勉強の仕方がわからない!
営業妨害になるかもしれないので詳細を書くのは避けますが、
よく聞くような英語勉強方法をいくつかトライしてみたけど、
1ミリも英語力アップにつながらず…

試行錯誤し、その後数ヶ月かけて、なんとかテキストが読めるレベルに。

こうして少し英語力を身につけた私は、
本格的にeラーニングをスタートさせました。




次はラボクラスです。

先に書いたように、GGディプロマ取得のためには、
海外のGIAのキャンパスに行く必要があります!!

講師の話を聞いて理解し質問されたら答えなければいけません!

当然そこまでできる自信はないので、
オンライン英会話で修行、修行、修行。

キャンパスは世界中にいくつかあるのですが、
アメリカだと英語がネイティブなので聞き取りが難しそうなので、
他の国の中で一番親しみのあるタイ・バンコクへ。



ラボクラスはひとつのコースにつき、3〜5日間。

一緒にラボクラス受講したメンバーは、
カンボジア、ミャンマー、インドネシア、シンガポール、南アフリカ、モザンビーク、オーストラリア、USAなどの方たちで、年齢層もバラバラ。

そんなに長い日数ではないので仲良くなったのは数人だけど、一緒に食事したり、その後日本に来たときに家に遊びにきたりする仲間もできました。


最後は、実際に石を鑑別する宝石鑑別(eラーニング)です。

鑑別はざっくり言うと「石を調べ、何の宝石か見分けること」で、
石を鑑別?どうやってeラーニングで?と思っていたら、
アメリカから石が送られてくるシステムで、
アメリカにいる講師とメールや電話で連絡し、
課題を進めていくというものでした。

鑑別機器は自分で用意します。
揃えなければいけない機器リストがあるのでそれに沿って用意します。
多少の知識がないと揃えるのが難しいかもしれませんが、
自前の鑑別機器で課題を進めていくことができるので、
この点は大きなメリットだとも言えます。
(機器を買わずキャンパスのワークルームで課題を進めることもできます)



元々持っていたもの。
追加で新品で買ったものもあれば、中古で買ったものも。
買って失敗したものも。あとは道具を自作したりも。

ただ中古で買うと、それが正常に動いているのかわからないことがあるため、
詳しい人に見てもらったりした方がよいと思います。
宝石顕微鏡は中古で買い、オーバーホールに出しました。
(今中古市場に流通している宝石顕微鏡はかなり古いものばかりで、
 だいたいどこかしらカビていて、曇って見えることが多いです)

GIAの必要要件としてここまで揃える必要はありませんが、
これぐらい揃えると個人でできることは大体できると思います。

道具が揃えば、ひたすら石を見て、課題を進めていきます。
最終テストは、20石を鑑別し、全問正解すれば、晴れて合格です。


すべてを修了し、一番上の写真にある修了証書が我が家に。
この修了証書は、これまでは紙のみでしたが、
企業などに、URLやPDFで提出できるように、
2023年からデジタル公式証明書も発行されるようになりました。



GGディプロマを取得して得たものは、

・宝石学、宝石についての基礎知識が身に付く。
▷今の時代、ネットなどでも学べると思われがちですが、専門機関が出している情報以外は間違った情報も多かったり、説明が不十分な断片的な情報だったりするため、そのまま鵜呑みにするのは危険です。
▷一番重要なのは、基本的な宝石情報が網羅されているということと正しい情報を学べるということ。

・鑑別機器の使い方がしっかりわかる。
▷学ぶまではなんとなくで使用していたり、使い方がわかってるもの、よくわからなかったものがありましたが、それら全ての使い方や用途が理解できます。

・宝石を鑑別できるようになる。
▷ベーシックな宝石を鑑別できるようになります。
▷教材に含まれない宝石(レアストーンやレアカラー)が多数ありますが、基礎ができていれば、独自に資料を集めて鑑別できる石を増やすことができます。
▷そのほか最新&高額な鑑別機器でなければ調べられない石や処理も多いですが、重要なのは、どういったものがそれに該当するかわかるようになることだと思います。


期待しすぎていた点として、

・宝石の知識が網羅できる…ことはありませんでした。
▷基本的にテキストの情報以外は学べません。餅は餅屋。講師はテキストに書かれていることに関する質問には答えてくれますが、鉱山に詳しかったり、サファイアのスペシャリストだったりはしないということ。
▷別の宝石教育機関の方にもお話を伺いましたが、これについてはどこもそういうものらしいです。


宝石についてもっと知るためには、
GIAの教材だけでなく、
いろんな石を見たり、
日本海外問わず本やレポートから情報を集めたり、
専門的に研究されている方にお話を伺ったり、
現地に足を運んだりが重要だということ。


改めて世界中で訪れた鉱山の情報や、
採掘・採取した宝石や鉱物、
集めたルースや原石を見てみると、
気づくこともたくさんあり、
また旅に出て石を探しに行きたくなりました。