採ったサファイアを研磨してもらおう

Country
Sri Lanka
Location
Ratnapura
Schedule
2014-07-17-2014-07-25
Target
Sapphire
ムーンストーン、トパーズを無事採ることができ、
ふたたび帰ってきたラトナプラ。

ムーンストーンやトパーズを採ったけれど、
このスリランカの旅で、一番の採れ高といえばやっぱり、
このサファイア!!!



小粒と言えば小粒だけど、
私たちが採ったサファイアの中では一番の大きさ。
ツヤ消しガラスのようなつるんとした原石で、
まだらなパープルの中にブルーも混在する、
私好みのなんとも魅力的な原石。

実はスリランカから宝石の原石を
そのまま持ち出すのはダメらしい・・・
なので、アクセサリーにしたり、
カットしたりする必要があるみたいで・・・

このサファイアを含め、採った石を、
ゲストハウスのラサンタに、カットしてもらうことに!!
自分が採ったサファイアだから、
どんな風にカットされるか見てみたい!



ゲストハウスの中に、研磨機があるので、
作業を見させてもらうことにした。

この原石が、最終的にどんな形になるのかな?
本当にキラキラ輝く宝石みたいになるのかな?



まずは、原石の形をチェック。
ルース(磨かれた裸石)として一番キレイに見えるのは、
どの面を上にすればいいのか、
どんな形にするのがいいのか、
削る時のロスをいかに少なくするか、
インクルージョン(内包物)や
クラック(亀裂)をいかに避けるか、
石を見て、瞬時に見分ける。
これはきっと長年の経験がなければ難しい。

最初は、原石を電動式研磨機に押しつけて、
おおまかにカットする。



サファイアはダイヤモンドの次に硬い宝石。
削っていくのも、結構力がいるんだとか。

ラサンタの頭の中では、どんなものが出来上がるか
イメージが出来ているようで、
その形を作るため、整えていく。



なんとなく形になってきた。
乳白色のパープルの中に、ブルーが入ったサファイア。
どんなルースが出来上がるのだろう・・・

カットしている最中に割れちゃうこともあるそうなので、
それだけは、やめてーーーーとドキドキしながら見守る。



トップを平らに削り、第一段階終了。
ここまでの時間、約7分ぐらい。
楕円形(オーバル)のルースになるのかな?
元の原石のサイズを最大限に活かしてくれている。

続いて、ワックス的なものを火で炙り、
原石をくっつけていく。
ここからは手だけで削っていくのは難しいようで、
長い金属の棒と合体させるみたい。



簡単そうな作業だけど、意外とうまくくっつかない。
ワックスと原石を一緒に炙る。
どっちも同じ温度じゃないとダメみたいなことを、
ラサンタが言っていた。
ここをしっかり付けないと、
ここからの作業がうまくいかないらしく、
慎重かつ、丁寧にまとめていく。

次は、別の手回し研磨機で、外枠の形を整えていく。
少しずつ削りながら何度もチェックし、オーバルに。



ここで第二段階終了。
ふたたび電動式研磨機に。
ここからは適時、研磨機の刃を替えながら作業。



原石をくっつけた棒を、
特殊な器具に取り付け、角度を調整。
何度も角度を変えながら、原石を削っていく。
ここからはまさに職人技。
削っては、ルーペで石をチェックし、
削っては、ルーペで石をチェックし、
角度を変えて、
削っては、ルーペで石をチェックし、
削っては、ルーペで石をチェックし、
角度を変えて、研磨。
・・・繰り返しの作業が続く。



作業開始から約30分。
トップ面の形が出来上がってきた。
でも、まだ照りはない・・・。



ここで取り出したのは、ダイヤモンドパウダー。
照りを出すための仕上げ用。



どうやらこのダイヤモンドパウダー、
結構いいお値段がするらしい。

研磨機の刃に、パウダーを広げて、再始動。



さっきよりも照りが出てきた。
ダイヤモンドパウダーの力恐るべし。
すべての面を順番に磨いていく。

ちなみに、研磨場所はレストランの一角。
かぶりつきで見守る。
ガン見しても、ぶれない!
これぞ職人技!

「日本にもこんな研磨機がある? 」と
ラサンタに聞かれたけど、
そもそも、研磨するところを
最初から最後まで見るのは初めてだから、
日本の研磨事情とかわからない。
日本ではどんな機材で研磨しているのかな?



さらに磨くこと、25分。
トップ全体が磨き上がった。
この段階でも、充分すばらしい出来映え。
あの原石が宝石の輝きを放ち始めた。



ガードルと呼ばれるサイド面も研磨した後、
一度、棒から原石を外し、今度は逆の面に。



これでもうすぐ完成。
最後の仕上げ、磨き上げていく。
すると・・・



きらーーーん。
磨く前と後では、こんなにも違う。



出来上がったルースを外し、
磨き布でふきふきして、完成。
所要時間1時間30分。

見よ、この輝き!!!!
採った石をこんな風に出来るなんて思っていなかった。

カット代、これでなんと、
200スリランカルピー!!
(当時のレートで約160円)



おわーーーっ!!!
原石って、こんな風に宝石として生まれ変わるんだ。
感動!

原石の時には想像もできなかった輝き。
中には原石のままの方が美しい石もあるけど、
このサファイア、カットしてさらなる魅力が出た。
はじっこは、ミルキーパープル色、
真ん中にブルーのカラーバンドと呼ばれる、
サファイア特有の色の帯、
逆サイドは透明度の高いパープル。
見る角度によって表情がどんどん変わる。
明るい太陽の下では、
スリランカ独特のブルーサファイアの様な色にも見えるけど、
白熱球に当てると、赤紫色・ピンクっぽく変わる。

なんとも不思議な色合いに仕上がった。
やばい、原石もいいけど宝石も・・・いいっ!!!