先生もいれば、ライバルもいる

Country
USA
Location
Crater of Diamonds State Park
Schedule
2013-11-09-2014-02-04
Target
Diamond / Quartz
公園のクリスマス休み開け、12月26日。
この日、公園に行ってみると、
見たことあるような人が・・・



私の先生、ダイヤモンドハンター・トムだ!

最初の頃、世界一周するのに、
3ヶ月もアメリカに、しかも同じ場所に滞在するなんて、
なんかもったいない使い方だなぁって思っていた。
でも、時間をかけて、目的に向かう、
同じ場所にとどまるということは、
実はとっても実りのあることで、
ステキなことだとわかった。

ほぼ毎日公園に通い続けることで、
公園のスタッフと仲良くなって、
1日でもお休みしたりすると、
昨日はどうして来なかったの?と心配される程。
以前会ったダイヤモンドハンター仲間に
再会するということも、
楽しみのひとつになっている。

「あれから毎日来てるけど、
 全然見つからなくて、
 トム、ヘルプミー!だよ!
 どのあたりを掘れば、
 ダイヤモンドは見つかるの?」

って言ったら、
トムは自分がダイヤモンドを見つけた
お気に入りの場所に連れて行ってくれた。
スコップをさして、
singing歌う場所がいいんだよって。

singing・・・

トムってやっぱりステキね。
詩人ね。
砂利がジャリジャリ言う場所を、
砂利が歌ってるだなんて!



背が低いので、大きな石を置いて、
高さを調整することを覚えた私。
採掘時間、7時間、
たくさんたくさん歌う場所を洗ってみたものの・・・
この日も「No Diamond!」



翌日、
公園で出した砂利を持ち帰るための
バケツを購入。



トムと初めて出会った時、
洗って出した、中心部分の主に白い砂利のところを
持って帰って、宿でチェックするといいよと言われていた。
アダムも砂利を持ち帰り、
もう一度チェックしてると言っていた。

それまで私は、砂利をその場でしっかり見ているから、
無いものは無いと思い、砂利を公園に戻していた。
この話を聞いてからは、毎日砂利を宿に持って帰って、
夜な夜なチェックしていた。
さらに最近は、効率よく作業するコツを覚え、
たくさんのいい感じの砂利を出せるようになった。
そこで、これまでは小さなタッパを使っていたが、
バケツに容量アップ。

この日は4つもダイヤモンドが見つかっていたが、
私は残念ながら「No Diamond!」
でも、もしかしたら、
宿でダイヤモンドが見つかるかもしれない・・・
最近はそう思い、希望を胸に宿へ戻るように。



帰り際、公園の駐車場で、トムと
昨日知り合ったアダムの友だちの
カイラとそのお母さんたちと、
いろいろお話ししていたら、
男性が近寄ってきた。



なんと、その手には、
ダイヤモンドが!!!

彼はずっと前から
私と同じように採掘していた。
特にお話ししたりしたことはない関係で、
ただ、毎日作業中、
今日もあの人やってるな、という存在だった。
お互いに、
ダイヤモンドを見つけたことがないことは、
うすうす知っていた。
いわば、ライバル。
きっと、向こうも思っていたと思う。

そんな中、彼はついに見つけた!!!



正直、く、くやしい!!!
うらやましい!!!
トムやアダムが見つけるのは、
むしろうれしくて、一緒に喜べるけど、
同じ時期に、1度も見つけたことがない中で、
やり続けていた人が見つけると、
やっぱり、くやしい!!!



でも、よくみると彼の手はボロボロ。
それだけ必死で、
毎日砂利とダイヤモンド掘りに
真剣に向き合ってきたことがわかった。
同じダイヤモンドハンター(見つけてないけど)として、
やっぱりすごいと思う。
彼の笑顔はとても晴れ晴れとしていた。
この日見つかった中で一番大きな31ポイントのダイヤモンド。
彼の名は、ジョン。


さて、この旅の写真、撮ってくれているのが、
この旅に同行している、もうひとり。

今回旅に出るにあたり、
このもうひとりがいろいろ相談に乗ってくれた。

というか、
ダイヤモンドが採れるこの公園のことを
教えてくれたのが、この人。

この話を聞いて、
「自分でダイヤモンドを見つけたい!」
と私が言うと・・・

きっとこの公園で、
日本人でダイヤモンドを見つけた人はいない!はず。
だから、撮影したら、面白い!
だから、ついて行ってもいい?
と言う。

実は、この人、海外に一度も行ったことがない!
いつか海外に行く時は、普通の旅行ではなく、
誰もしていないような、
特別な旅がしたいと思っていたようだ。

元々テレビやラジオの放送作家をしていて、
旅に出る前は、Google JapanのCM制作チームに
参加していたりする人で、そんな活動の傍ら、
私の音楽活動をサポートしてくれていたりもする。
その時、自分がやりたいことをしているのだそうで、
好きなことをなんでもやっている印象。
そんな人だけに、これは面白いと思ったそう。

ちなみに私の職業は、シンガーソングライター。
メジャーデビューしたり、
インディーズでやったり、
再メジャーデビューしたり、
インディーズに戻ったり、
売れてはいないが、私もやりたいことをやるため、
自由なスタイルで活動していたりする。

その彼とは放送作家時代に出会った。
その後、私のやりたいことを
何度も具現化してくれていたので、
一緒に行くのもいいかなと。
ライブの動画撮影や写真もいつも撮っているので、
その辺の問題も大丈夫。

それに、世界一周するにあたり、
心配性の母を気遣い、男の人が一緒なら、
少しは安心かなと思ったのもあった。

ツアーやキャンペーンで全国を一緒にまわるので、
旅を共にすることには慣れている。
しかも、行き当たりばったり、適当派の私とは違い、
彼は計画的で、きっちり仕事をするタイプ。
なんでも任せられる。

そしてなにより、
私もダイヤモンドを発見したときの様子を
残したい!と思い、同行してもらうことにした。

私は数ヶ月前から仕事を入れず準備し、
彼は仕事をお休みし、旅立った。

でもでもでも!!!

実際に彼がカメラマンとして撮影しているのは、
毎日ちょっとだけ。

そのワケは・・・
ここに来て分かったことだが、
この公園に関する写真が、
世の中にはあまりない。
ないと言っても、多少はあるが、
観光客も来る場所なのに、
ネット上を探しても少ないと思う。

それはなぜか・・・

みんな採掘に必死で、
写真を撮る暇がない!!!!

もちろん観光で来ている人は、
写真を撮ったりしているけど、
プロフェッショナル、
セミプロフェッショナル的な人達は、
写真なんて撮らない。
そんな時間があるなら、
掘る。
運ぶ。
洗う。

ダイヤモンドが見つかる瞬間を、
ムービーで撮りたい。
なんて、思ってたけど、
そんなことムリ!!!

絶対ムリ!!!

全然ダイヤモンドなんて見つからない!

1日中撮影し続けるなんて、
時間のムダ!!

そんなことしてるぐらいなら、
掘って。
運んで。
洗って。

という感じなので、
ダイヤモンドは簡単に見つからないとわかった頃から、
二人で作業を分担し、
一緒にダイヤモンドを探すことに。

だから、ムービーは、
毎日最後にその日見つけた石を
ダイヤモンドかどうか鑑定をする時だけ。

写真は、一日多くて10枚ぐらい。
少ないときは、1枚だけ。

という感じになった。
それぐらい採掘漬けの毎日。
以上、もうひとりの話。



翌日12月28日は、記念すべき?
アメリカ滞在50日目だったのだが、
突然、私の体に異変が・・・。

これまで、絶好調でダイヤモンド掘りを
続けてきた私だったけど、
昨晩食べた何かがあったようで、
食中毒?胃腸炎?で、発熱しダウン。
何か食べると、ヤバイので絶食。
うなされ続け、この日はダイヤモンド掘り、断念。



12月29日、アメリカ滞在51日目。
採掘を2日連続で休んだことがなかったので、
まだ完全復活ではなかったけど、
公園へ向かう。

毎回、公園に行くと、
必ずスタッフにあいさつをする。
今日も、来てますよ!って
会いに行くのが日課になっている。
帰りのあいさつは決まって、
『See you tomorrow!』
だから、
「昨日は雨じゃなかったのに、
 どうして来なかったの?
 寂しかったわ!」
と心配してくれた。

体調不良と戦いながら、6時間半。
この日も、「No Diamond!」



2013年も残り2日、12月30日。
この日の気温は、
1日中、気温がマイナス・・・という予報。
やってもやっても見つからない
ダイヤモンド探しの現実逃避?気分転換のため、
バディーが前々から誘ってくれてた
クォーツ(水晶)探しに出かけることに。

アーカンソー州はクォーツの産地として
世界的に有名な場所。
「Ron Coleman Mining」という
クォーツ鉱山へ連れていってもらった。



極寒の中でも、寒さを忘れるほど、
ゴロゴロ落ちてて、楽しすぎる!!!
ダイヤモンドを探し続けて約2ヶ月。
石を見つけるという目が研ぎ澄まされてきたのか、
お気に入りの水晶をたくさん見つけた。
これで、気分リフレッシュ!




2013年12月31日。
公園は、大晦日も営業。
ラストチャンスで見つかる。
そんな夢のような展開を期待。



この日も凍てつく寒さ。
氷が張る洗い場で作業を続ける。

すぐそばであのジョンが、
いろんな人に自慢をしている。
いいなぁ。
ダイヤモンドを見つけたことがある人と、
ダイヤモンドを見つけたことがない人とでは、
まったく違う!!!
う、うらやましいーーーーっ!

ダイヤモンド見つけたことあるんだ~って
私も言いたい!!!



閉園ギリギリまで、探し続けるも、
ダイヤモンドは見つからなかった。
この日、公園で見つかったダイヤモンドは1つ。
2013年のラストダイヤモンド、私じゃなかった!!!
くやしいーーーっ!!!





2013年の成績。
53日間で41回の採掘チャレンジ。
持ち帰った砂利を調べてみたが、なし。


ダイヤモンド、0。