Bolivia2018①〜アメトリンとアメシストを探しに〜

4年半前、まだスタートしたばかりだった世界一周の旅の途中。
ボリビアで偶然アメシストの切手と出会った。
それがキッカケで始まった宝石採掘の旅。
(その時の日記はコチラから)



この切手に書かれていた Amatista Mina Anahi.
スペイン語でAmatistaはアメシスト、Minaは鉱山という意味。
後に、Anahiは、鉱山の名前だということがわかった。

アナイ鉱山[Anahi mine]

調べてみるとアメシスト[Amethyst]の他にも、
世界で唯一この鉱山でしか産出しない
アメトリン[Ametrine]という石が出るらしい。
アメシストの紫、シトリンの黄が、ひとつになった石。
ちなみに、ボリビアでアメトリンはボリビアニータと呼ばれている。
この鉱山、アナイという会社が独占所有していて勝手には行けない。

そんなことを知り、急遽予定を変更して、鉱山を目指した。
が、結局、奇跡的にオーナーと出会うところまでは行けたけど、
雨季のため、鉱山に行くことは出来なかった。

その時オーナーから
「乾季の8月か9月だったら鉱山に連れて行ってあげる!」
と言ってもらって、
『じゃあ、また来るね!』と約束した。

だけど現実的に考えると、ボリビアまでは交通費も高いし、
天候やその時の向こうの都合もあるだろうから、
必ず行けるとは限らない。

そんなこんなで、行きたいなぁとは思いつつ、
4年半、実際に行動に移したことはなかった。

が、それでは一生行けない!!
行きたいと思ったときに連絡したら、
メールアドレスが変わっていて・・・
なんてこともあるかもしれない。

というわけで、
今年の初夏、久しぶりにメールを送ってみた。

『今年の9月にボリビアに行ったら鉱山に行けますか?』

すると返事が戻ってきた。

「OK!」

でもよくよく聞いてみると、
雨季じゃない時期でも雨が降ることがあり、
その場合は行くことが出来ないとのこと。

それはもう仕方ない!!
万が一行けなくても、またラミーロに会えるなら行きたい!
南米へのフライトチケットは直前になると超高くなるため、
雨が降らないことを願いつつ、チケットを取った。

2018年9月、ふたたびボリビアへ。



ボリビア・サンタクルス。
ボリビア第2の都市と言われる町だけど、
あまり観光客は来ない。

だから外国人が歩いていても、強引な客引きも押し売りもしてこない。
たま〜にちょっとだけ上乗せ料金を言ってくる人もいるけど、
基本、陽気で気さくで、思っている以上にフレンドリー。
南米は危険!というイメージが強いけど、
ここはのんびりとしていて、意外と平和な感じ。
観光地とは違う、地元の人達の暮らしの中に
そのままとけこめるローカルな感じが好き。







ちなみに、この町に鉱山があるのではなく、
この町にあるのは、鉱山を所有するアナイという会社。

まずは会社でオーナーのラミーロに会って、
鉱山に行くための打ち合わせ。



久しぶりに会うラミーロはやっぱりジェントルマン!
初めて会った時は、まさかこんな大企業の
しかもこんな素敵な方とは1mmも想像しておらず、
キュートな笑顔と親切な対応に
一撃でファンになってしまったのであった。

ラミーロは相変わらずやさしい。
机の引き出しから取り出して見せてくれたのは、
なんと、4年半前初めて会った時に渡した、私の名刺だった!

うわぉっ!!
まだ持っててくれてたの!?

社長室で、思わず大きな声を出してしまうくらいうれしかった。
たった1度だけ、しかも突然やってきた謎の日本人だったのに。
感激。

さらに、机を見ると見覚えがあるものが…



なぜかわからないけど鉱山を所有しているオーナーが、
あの切手のことを知らなかったのでプレゼントしたのだけど、
切手もずっとデスクに置いていてくれたみたい。

世界一周を終えて日本に帰ってから、
旅の写真集やCDやDVDなど送ったりはしたけど、
今回連絡するのは4年半ぶり。
でも、私たちのことをしっかり覚えてくれていたよう。
うれしいなぁ。

そんなやりとりもありつつ、
いよいよ本題へ。




『私たちは鉱山に行ける?』



「もちろん!!」



あー、この言葉が聞きたかった。
天気も良いそうで問題ないとのこと。
事前にネットで天気を調べて、
なんとなく行けるかなと思っていても、
実際の鉱山付近の天気はわからないので、
この言葉が聞けて一安心。

ただ、問題が!

ドライバーが連れて行ってくれるけど、
鉱山に行くのは、私たち二人だけ。
ラミーロは行かない。

えーーー!?

さらにもう一つ。
ドライバーや鉱山にいる人たちはスペイン語しか話せないそうだ。
しかも、鉱山はもちろん、道中も携帯が圏外らしい。

英語が話せるラミーロがいないのは少し心細いけど、
今までも言葉がまったく通じないところばかりだったから、
それはそれ、ジェスチャーでなんとかなるでしょう!


さて、この日はもうひとつ、ラミーロにお願い。

前回会社に来たときは、工場を見せてもらったけど、
ラミーロがその場におらず、
一瞬中を見ただけで、説明もなく、
写真を撮ることも出来なかった。
そこで、もう一度、工場見学のお願い。

すると今回はラミーロが案内してくれた。

おぉ!オーナー自ら案内してくれるとは、
なんて贅沢!

詳細は書けないけど、工場はセキュリティ対策が万全。
誰でも自由に入ることが出来なくなっている。





少し蒸し暑い工場の中には、
アメトリンやアメシストの原石がぎっしり入った土のう袋が山積み。

まず、原石を洗い、ライトで透かして見て、
透け感のあるジェムクオリティーの石か、
そうでないかを選別していく。





ジェムクオリティーとして選び抜かれた原石から、
クラック(割れ)やインクルージョンなど、
余分な部分をそぎ落とすため、カットしていく。







アナイが販売するいわゆるGem-gradeのカット用原石は、
インクルージョン、クラックがまったくないもの。
これがアナイクオリティー。

ラミーロ曰く、
カット用原石になるのは全体のたった2%なんだそう。
その貴重なジェムクオリティーのマテリアルを輸出するのが
この会社のメインビジネスなんだとか。

そして次に向かったのは



カット用原石の倉庫。(自主規制でぼかしを)

カット用原石は、グレードが6段階に分けられ、
世界中からのオーダーに合わせて出荷をするのだとか。
せっかくなので、一番いいグレードの石を見せてもらう。



うわっ。濃いっ!!!
アナイのアメトリンは一切の人工処理をしていない天然ものなのに、
なんだか人工的に作られているニセモノかと思うくらい、
色が濃くて、色の境目がはっきりとしてる。



一見キャンディーのようにも見えるけど、
これ1粒で結構なお値段。
とはいえ、これをカットするとまたさらに値段が高くなる。
宝石おそるべし!



前回来たときはよくわかっていなかったけど、
アメトリンは、1:1のバイカラーの他に、
こういったタイプもあるようで、
トキメキが止まらない!
何この幾何学模様のようなミックス!



見れば見るほど、魅惑的。
いろんな角度から見ると、色も変わるし、色の境目が変化するし、
全然違う表情を見せてくれるので、
どれも個性的で素敵すぎる!
アメトリンって、奥が深いのね。



こうして一通り工場を見せてもらい、大満足。
いよいよ明日の夜、鉱山に向けて出発することに。

うわっ!にやけた顔がもどらない!

エピソード②→
[Bolivia:Ametrine/Amethyst]