Japan2024〜八丈島でサンストーンを採りたい〜

「日本で採掘はしないんですか?」

よく聞かれるのですが、
私たちは基本的に日本で採掘はしていません。
その理由は、法律的にアウトorグレーな場所が多いから。
(もちろん糸魚川&富山で拾える翡翠などは別ですよ)

そんな中でもずっと気になっていた八丈島のサンストーン。

サンストーンとは、日本語で「日長石」。
長石グループに属する宝石。

私の故郷の神津島では黒曜石が、
同じ伊豆諸島の仲間、八丈島はサンストーン、
三宅島はペリドット、サンストーンが採れると言われている。

しかし、伊豆諸島のほとんどの部分は国立公園であり、
国立公園での鉱物の採取は原則として禁止されているみたい。
そんなこともあり、これまで八丈島での採取は諦めていたけど、
ひょんなことから仕事で八丈島に行くことに!



せっかく行くならサンストーンを見に行きたい!!



できることならサンストーンを採りたい!!



ということで、今一度、
八丈島でのサンストーン採取が禁止かどうか調べてみることに。
すると、いろいろサイトがあって…

・道具を使わず採取している人
・ハンマーなど道具を使って採取している人
・国立公園だから採取は禁止と言う人
いろいろな人がいた。

むむむっ。
公的な機関の見解を書いている人はいなかったので、
どれが正しいかよくわからない。


次に国立公園での鉱物採取について調べてみたけど、
こちらも、それが本当かどうかはわからない。
本当のこともあるだろうけど、間違っているものもある(はず)。


そこで今回は、国立公園(and八丈島)での鉱物採取について、
国や都道府県などのお役所サイトのみに絞り調べてみることに。

まずわかったのは、
①国立公園は、国が指定し、国が管理していて、
 自然公園にカテゴライズされている。
(自然公園は国立公園、国定公園、および都道府県立自然公園を指す)
②自然公園法という法律がある。

また、
③国立公園の中に(1)特別保護地区、(2)特別地域、(3)普通地域がある。
④サイトによって微妙に表現は違うが、
 地域によって鉱物の掘採・土石の採取は届出が必要or規制がある。
ということ。


ん?規制はされているものの、
実は鉱物の採取は禁止はされていない???


続いて八丈島について調べてみると、
③に関して、今回の目的サンストーンは八丈島の石積ヶ鼻にあり、
その場所は(2)特別地域だということがわかった。


今度は自然公園法について調べてみると…

『自然公園法施行規則(昭和三十二年厚生省令第四十一号)』には、
(特別地域内における許可又は届出を要しない行為)
第十二条 法第二十条第九項第五号に規定する環境省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。
十九 土地の形状を変更するおそれのない範囲内で、鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。


なんと特別地域での鉱物の採取はOK!!!
と書かれている。
これは意外な展開!採ってもいいの!?


と喜んだのも束の間、さらに調べてみると、
環境省のホームページに気になるページが!!

『国立公園及び国定公園の許可、届出等の取扱要領について』
土石の採取について。土地の形状を変更するおそれのない範囲内で行われる土石の採取は、施行規則第一二条第一九号により許可を要しないこととされているが、本規定は小石を拾う程度の行為をいうもの。※要約しています


と書かれており、特別地域に関しては、
鉱物の採取は許可され、それは小石を拾う程度であるという内容…
ということでよいのか???


これ以上はネットで調べていてもよくわからない。
というわけで、調べた情報をもとに
環境省の伊豆諸島管理官事務所に電話して聞いてみた。


結果は…

これまで調べた内容は正しく、
特別地域において、小石を拾う程度の持ち帰りであればOK。
とのこと。

ただし、小石を拾う程度と言っても、
小石サイズの石を大量に持ち帰ったりはダメ。
小さい石を数個ぐらいということだそう。
(勝手に拡大解釈してはいけませんよ、ということ)

また、土地の形状を変更するおそれのない範囲とあるため、
ハンマーなどを使っての採取も禁止されている。
落ちている小さな石を拾うのはよいそう。

さらにもう1点、管理官事務所の方曰く、
この規則とは別で、土地の所有者の許可もいるようで、
担当の支庁に確認してください。とのこと。
(国立公園内にも多くの私有地が含まれている)


そこで八丈支庁に確認すると…

サンストーンのある八丈島 石積ヶ鼻(特別地域)においては、
小石を拾う程度の持ち帰りはOK!

(ただしいっぱい持ち帰るのはダメ)


やったーーー!!!!!
これで小石を拾う程度の採取は問題ないことがわかった。
いろいろ調べてみてよかったーーー!!


ちなみに、
同じ国立公園の富士山の溶岩の持ち帰りは禁止!
とよく聞くけど、
八丈島の石積ヶ鼻(特別地域)のように、
小石を拾う程度であれば持ち帰りは可能なのか?

これについても担当の管理事務所に聞いてみた!!

結論は…
富士山の溶岩&石の持ち帰りはダメ!!
(許可がない場合)

これは富士山五合目以上についてのことで、
この場所は特別保護地区に指定されており、
最も規制の厳しい場所となっている。とのこと。
(八丈島の石積ヶ鼻は特別地域で、特別保護地区とは異なります)

このように国立公園であっても、
場所によって鉱物&石の持ち出しの有無は異なり、
また土地所有者への確認も必要となることから、
それぞれの場所で確認が必要となるので気をつけてくださいね。

サンストーンを探しに八丈島へ



さて、前書きが超長かったけど、
やってきました!!



私たちがサンストーン探しに当てられるのは、
最終日の朝から空港に行く時間のお昼過ぎまで。

今回宿泊したのは2023年に公開された
八丈島を舞台とした劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』
に登場したホテルのモデルになったリードパークリゾート八丈島。




とても素敵なホテルだったけど、
サンストーンがある石積ヶ鼻まではとても遠かった!
タクシーで30分以上かかるみたい。



そこで島で事前に情報を集めたところ…

・ホテルからタクシーで行くと往復15000円ぐらい。
(島の中心地からでも往復10000円ぐらい)
・タクシーの事前予約はできない。
・ホテルで借りられる電動自転車で行くのは無茶!

ということ。

これは困った!と思っていたら、
AIデマンドタクシーなるものを発見!

要は乗合タクシーのようなもので、
今、試験運行されているらしい。

それを乗り継いでいけば、石積ヶ鼻まで行けるし、
予約もできるようだ。
しかも一日券を買えば1人1500円で行って帰ってこれちゃう!

アプリをインストールし、前日に予約完了。



翌朝、時間通りAIデマンドタクシーが到着。
途中でタクシーを乗り換え、いざ石積ヶ鼻へ。



おおー、ついにやってきた!!!

ずんずん進んでいくと…



気持ちがいい!
やっぱり島は似てる。
私の故郷の神津島と同じ雰囲気。島に帰ってきたような気分♪
昔行ったイースター島にもすごく似ている気がする。

この断崖絶壁の下にサンストーンがあるらしい。




岩場に降りて、ごつごつとした溶岩を見てみると…

あった!



秒で発見!!

八丈島の関係者の方曰く、
「ピンク色のものはあんまりないねぇ。」
だったので、こんなにすぐに見つかるとは!

黒い溶岩の中に閉じ込められた
薄ピンクや濃いめのピンク、
サーモンピンクっぽいのから赤いのまで。
透け感のあるものもたくさん!

でも、ここではハンマーでガシガシは禁止なので、
大きな溶岩に入ったサンストーンは撮影のみ。





いろいろ見ていると、
溶岩ならなんでもサンストーンが入っているわけではなく、
全然何にも入っていない溶岩や、
ペリドットが入っている溶岩もある。
色が濃いものが多く入っている溶岩もあれば、
ほとんど白?という溶岩も。
不思議。
こんなに狭いエリアなのに、
全然環境が違ったのかな?



サンストーンが入っている溶岩の岩の下には、
風化して落ちたと思われる小さながカケラがそこそこ落ちている。



せっかくなら溶岩と一緒にくっついてるのがいいなぁとか、
結晶の形がちゃんと見えるものがいいなぁとか、
透けてるのや色が濃いものがいいな〜〜〜
なんて、あれこれ理想を描きながら、急いで探す。



残り30分、20分、10分…
く〜〜〜〜!!!
もっと時間があったらよかったのに!

もう帰らなあかん!!!
という最後の最後で、砂利の中から真っ赤な石が!!



どきどき。
真っ赤で透き通ってる???
不思議な色合いの石。


綺麗にして透かしてみると…



うわぁ!すごくキレイ!!
とびきりいいのを見つけた!!


ここでタイムアップ!
急いでタクシーの待ち合わせ場所へ。 

ちなみに、
ここから日によってはクジラも見えることがあるそうだけど、
そんなことはすっかり忘れ、サンストーン探しに夢中になっていた。 



島の滞在も残りわずか。
帰りのタクシーの乗り換え地点で島寿司を買いたかったけど、
この日は、魚の入荷がなく欠品。残念…



前の日は割烹料理店で、とても美味しい島寿司をいただいた。
島寿司はネタが漬けで、
ワサビじゃなくて、カラシが使われているお寿司。



島寿司は家庭でも作る伝統的な郷土料理で、
さらに前の日は地元婦人会の方が作った島寿司をいただいた。
ネタの種類は少ないけど、何個でもいけちゃう美味しさだった!



私たちは石探しで世界中を旅しているけど、
その土地の食事や、
その土地て暮らす人たちとの交流を大切にしている。

石を見つけることももちろん楽しいけれど、
その場所に辿り着くための聞き込みで出会った人や、過程や、
石拾いのルールを調べたりすることもとても楽しかったりする。

さあ、次はどこへ行こうか…