Bolivia2018③〜アナイ鉱山で夢叶う!〜



ついについについに!!!
アナイ鉱山(Anahi Mine)にやってきた!!!

門番の人がゲートを開けてくれた。
おぉ、ここが、アナイ鉱山なのね。

サンタクルスから夜行バス10時間、
そこからチャーターした車で5時間。

鉱山で働く人達が見守る中、
謎の日本人が鉱山に到着!



今回は鉱山見学は、1泊2日。
ラミーロからは、食事・飲み物・宿付き、と聞いていたけど、
人里離れた山の中、そんなに良い待遇はないだろうと思っていた。

キャンプと言っていたから、
テントか、掘っ立て小屋的なところでみんなで雑魚寝???
もしくはハンモックとかで寝てるのかな?
トイレは共用で、シャワーも外?
そんなのは全然問題ない。
それよりも、重要なのは、蚊対策!

4年半前、プエルトスアレスのあの倉庫に行った時、
ものすごいたくさん蚊がいて、
もうひとりはたぶんそこで蚊に刺されてデング熱にかかった。
だから、何よりも恐れていたことは、蚊にさされること。

ボリビアでは、デング熱の危険性もあるし、
ブラジルとの国境付近だから、マラリアや黄熱の心配もある。
一応、黄熱の予防接種は受けているから、そこは心配ないけど、
刺されないように細心の注意を払わなくては!

と思い、日本から蚊がいなくなるスプレーや、
虫除けスプレー、虫除けシート、虫除けのひざかけ、
虫除けにシーツに、蚊が逃げていく長袖を持参し、
万全の準備をしてきた。

食事は分けていただけるなら、なんでもよし!
飲み物もあるなら買っていかない!

まず案内されたのは、本日のお宿。



えっ!?
ちゃんとした建物!?

しかも、個室!?

ベッドもあるよ、トイレもシャワーも付いてるよ。

誰かが使っていた部屋なのか、
お客さんが来た時専用なのか、
シャンプーやトイレットぺーパーや手洗い用の石鹸まである。
電気も付くし、コンセントもあるし、
冷蔵庫もあるし、窓には網戸の網が直張りされていて、
一番心配していた蚊対策もばっちり。

カンボジアやスリランカの鉱山のイメージが強すぎて、
こんなに立派だとは思っていなかった。

「旅の疲れを流した方がいいよ、シャワーどうぞ!」

と、タオルまで用意してくれた。
至れり尽くせり。
さっそくお言葉に甘えて、さっぱり。
シャワーはお湯も出た!

まずは一緒にお昼ご飯を食べようということで、
案内してくれたのは食堂。




広い食堂。
入り口の扉も窓にも全部網が張ってあって、
虫も蚊も気にしなくてすむ。
みんなここで朝昼晩ご飯を食べるみたい。

私たちも鉱山で働く皆さんと同じメニューをいただく。
なにげにこういったパターンは初めてなので、
どんな食事が出るのか楽しみにしていた。



飲み物は謎の色してるけど、
チキンの煮込みに、サラダにライス。
シンプルだけど、見た感じとっても美味しそうなランチ、

いただきまーす。

チキンはやわらかくてほろほろ、ジャガイモもやさしいお味。
ライスはちょっとボソボソだけど、
サラダもシャキシャキしてておいしい!
生野菜も気にせずいただく。

で、謎の色の飲み物は、ソイジュースだと言う。
豆?
匂いをかいでみたらすぐわかった!

きなこジュース!

どろっとしてるけど、ほどよい甘みのきなこ。
なかなかいける。

この辺り周辺には、少なくとも5時間は車で走らないと、
どこにも食料を調達出来る場所がない。
食堂の裏手で鶏が鳴いていたので、
その鶏を食べているのかと思って聞いてみると、
そんなわけないよと笑われた。
ブラジルの鶏肉が届けられているとのこと。

お腹も一杯になり、いよいよ案内をしてくれるという。
ヘルメット、ヘッドライト、手袋は必ず装着することとのこと。
一応粉塵用のマスクも用意してくれていた。

今回、私たちの案内をしてくれるのはこの方、ロベルト。
エンジニアで、ここではみんなをまとめたり、指揮する役割みたい。



スペイン語オンリーなロベルトに、
ここでのことをGoogle翻訳やスペイン語本を見ながら教えてもらった。

アナイ鉱山で働く人はいくつかのチームに分かれていて、
60日作業、15日間お休み、というルーティンなんだとか。
今はトータル50人くらいが働いているそう。

そんな説明を受け、いよいよ鉱山エリアへ。



この鉱山にはいくつかの坑道があるらしく、
その中でロベルトが最初に案内してくれたのは・・・



いかにも鉱山って感じの立派な入り口。
坑道ごとに名前がついているみたい。
あとで翻訳してみると・・・

POZO(穴)
RICO(裕福な or おいしい)
という意味らしい。

いざ、坑内へ。



アメトリンやアメシストは、地下で採掘されているそうで、
ここが地下へと続く穴!

地下まで一気に長くのびたハシゴではなく、
数メートルごとに狭い踊り場があるので、
上から人が落ちてきても大丈夫なようになっている。
でも、危険だから、一つの踊り場まで一人が降りきるまでは、
降りてこないようにと説明を受けた。



ハシゴはしっかりしている。
地下へと下って行く段階ですでに、
壁になっている岩肌に水晶らしき結晶がみえている。

地下20メートル地点に到着。
体した運動量じゃないのに、ものすごくぜーはーいってる私たち。

鉱山内は冷気があって涼しいのかと思っていたら、
じっとりとまとわりつくような高い湿度で、
蒸し暑く、動いてもいないのに、
気持ちの悪い汗がじわ〜と流れ出てくる。

暑っ!!



暗い横穴の中を歩いて行くと・・・




わあ!壁も天井も、結晶が!
砂を被ってるだけで、中はアメシストかアメトリンぽい。

うわぁ〜〜〜っ!

そして、このあとすぐに、
その瞬間はやってきた!!!















4年半越しの夢、叶ったーーーー!!!

ずっとずっと、ここへ来てみたかった。

すごい・・・。感動。

どうやってここを掘り当てたのか、
穴を掘っていったら空間になっていたのか、
ここだけがこんな風なのか、
それともこの山の地下全体がこうなっているのか、
興奮がとまらない!
こんなすごい結晶のまま保存されていることもすごい。
これを掘り当てたマイナーさんたちもすごい。

目の前に広がる、アメトリンとアメシストの世界。




後日ラミーロに会った時、
『アナイ鉱山へ行った日本人は、何人いますか?』
という質問をなげかけたところ、
こんな返事が返ってきた。


「私が思うに、ツー(2人)・・・」


ん? 私たちは初めての日本人じゃないのか・・・


「1、2、奈津代と君の2人だよ。」


!?


ということは、私たちがアナイ鉱山へ行った最初の日本人!?
オーマイガー!!!
めちゃめちゃうれしい!
一瞬、先に行ったことがある日本人がいるのかとがっかりしたけど、
ラミーロ、にくい言い方してくれたわ!

やった!

ロベルトの話によると、
ここは「Museo(ムセオ)」と呼ばれているそう。
ムセオはスペイン語で、ミュージアムという意味。
確かに、アメトリンのミュージアムだ!
ごくたまに来るゲスト用になのか、
ライトアップもされている。



この凄さはどうやったら伝わるのか。

なんの音も聞こえない、しんとした地下20メートル。
自分の吐く息が蒸気になって、
さらにこの場所の湿度をあげているみたい。
尋常じゃないくらい汗が流れ落ちて、目にしみる。

じっとアメトリンの大きな結晶を見ていると、
表面に水滴が付いている。
水晶はとても冷たい鉱物だから、温度差でできたのかもしれない。
ヘッドライトを当てると、本当に美しい紫色で、ほれぼれ。

でも、ちょっとだけ怖い。

なぜなら、ここは観光鉱山ではないので、
何の安全も保証されていない。
いつ崩落しても、全然おかしくない。
もちろん、現役鉱山なので、作業する人達の安全第一だから、
丈夫だとは思うけど、そこは鉱山。
いつ何が起こるかわからない、危険と隣り合わせの場所。

だから、もしかしたら、変なところを触ってしまうと、
ごそっと崩れるかも・・・

だから、大胆なポーズはできなかった。

あと何年かしたら、
またこのムセオも形が変わっているかもしれないし、
もしまた来れることがあったとしても、
その時は立ち入れなくなっている可能性もある。

今、この景色を目に焼き付ける・・・



ムセオを後にし、
いろんな意味で汗びっしょりになった私たちを引き連れて、
ロベルトは横穴をいろいろ進んで行く。
さらに奥へ進むと、手掘りをしている人が。




ここは岩盤ではないらしく、土を掘っている。
粘土質の土の中から出てくる石は、
傷がなく、キレイな結晶のまま掘り出される。

ここから出るアメシストはムセオのものとは違い、
小さく、色も薄めのタイプ。




ロベルトが、こっちの方を掘り進めてみたら?
みたいなことを打ち合わせている。



土はもろいので、一歩間違えば、それこそすぐ生き埋めになりそう。
これは、マイナーさんの技術、経験なくして採掘できないだろう。

ちなみに、彼の頬が膨れているのは、
口の中にたくさん含んで噛んでいるコカの葉があるため。
コカの葉は文字通り、コカインのコカ。

鉱山の中で働いている人たちの多くは、
コカの葉を噛みながら作業している。
ボリビアでは、コカの葉は違法にはならないし、
鉱山内ではよく見かける光景。




地下で掘られた土や砂利は、地上に引き上げ、
大きなトロッコに載せて、外へ。

「それをここからざざっと、下に落とすんだ。」
と、ロベルトが身振り手振りで教えてくれた。




ここに捨てているのか、溜めているのかは、
よくわからなかったけど、
トロッコの線路の脇には、キレイな形を留めたままの、
アメシストのポインターがごろごろ。





続いて案内してくれたのは、露天掘りエリア。
基本的にこの鉱山は地下に穴を掘っていくスタイルだけど、
露天掘りの場所もあるようだ。




岩肌を見てみると・・・
巨大なアメシストの鉱脈が!!

おぉ!すごい!こんなにハッキリ見えるだ。
できるならハンマーでかち割ってごっそり採ってみたい!
でも、自分よりも大きな塊。こりゃあ歯が立たない。

そしてこちらは、
採った石のグレードをチェックして仕分けするエリア。
しっかり鍵が掛けられ、セキュリティレベル高め。





鉱山で採られた石は基本的に土、泥まみれ。
水の力で汚れを落としていく。
石の上に乗っちゃってるし、足でごろごろしてるし、
鉱物として美しいままの形を残すというよりは、
石のグレードをチェックするための準備という感じ。



こちらはアメトリンやアメシストの倉庫的な場所。
ブルーシートをどけると・・・



出ました!!!
出荷待ちのアメシストやアメトリンの大きめクラスターがごろごろ。

これらはブラジルやアメリカ、中国などに出荷されるのだそう。
このサイズ日本では見かけないようなサイズだけど、
一体どんな人が買っているのだろう。



100キロ以上ありそうなクラスターは、どうやって取り出されて、
どうやって運ばれているんだろう。
さらに、ここから、どうやって傷つけないように、
あの長い、ガタガタ道を運んでいるのだろうか。
カット用にする石は、土嚢袋的な袋に入れて山積みして運ばれるが、
こういった石はそうはいかない。謎だ・・・

そうこうしていると夕方になり、本日はここまで。



鉱山で働く人たちは、みんなここで暮らしている。
いくつか宿舎があるようだった。

ところで、この鉱山の敷地内にも、
建物の周辺にはさらに金網の柵で囲われている。
セキュリティーの問題かと思っていたら、
どうやら野生のタイガーが出るらしい。

た、タイガー!?

そりゃあ、おっかない。
ここでは、私たちが獲物。
木々には、南米っぽいオウムも群れをなしている。
そうか、ここは大自然の山の中なのか。
私たちの方が檻の中にいないと危ない場所なんだ。
勝手に出歩かないように、おとなしくしていよう。

ちなみに、鉱山内には、食堂はもちろん、
広いサッカー場なんかもあったりする。
ここは以前、採掘現場だったとロベルトが言っていた。
息抜きにサッカーしたりするのかな?

ちなみに私たちが歩く道にはアメシストたちが敷かれている。
もちろんクオリティーは低めだけど、
探せば、いいのもあったりするので、
散歩しながら、いくつかゲット。




夕食は一人一皿。
みんな同じものをいただく。
学校の給食みたい。
ホルモンみたいな肉が混じっているパスタ、
薄味だけど、これも、なかなかおいしかった。

宿へ戻る途中、夜空にはまぶしすぎる程の星空が。
さすが、ジャングル!
鉱山内で夜を過ごしたことがなかったから、
とても新鮮。
ムセオに、満天の星空。ああ、最高の1日だ。

なんだか、いろんなことがありすぎて、
まだイマイチ実感わかないけど、
私は今、ボリビアのアナイ鉱山にいるんだな〜。

幸せな気持ちで眠りについた。

が!

真夜中、極寒すぎて目が覚めた。

窓が完全に閉まらないので、
野宿している感じに近い。
ダウンとか着ていても寒かったので、
念のためにと日本から持参したカイロを取り出し、
抱きしめながら眠ったのだった。

  エピソード④→
[Bolivia:Ametrine/Amethyst]